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ヤングジョッキーズシリーズTR 名古屋

JRA松本騎手はTR3勝目
  地方は濱騎手が首位独走

トライアルラウンド(TR)も西日本は残り2場となったヤングジョッキーズシリーズ。形勢が見えてきたことで、互いの順位とポイントを意識するジョッキーも見られるようになった。

その最たる人物が岡遼太郎騎手(高知)と加茂飛翔騎手(佐賀)。2人の戦いはTR高知第2戦で、砂が深く不利なインコースに岡騎手が加茂騎手を閉じ込めたことから始まる。「まだ許してないぞ(苦笑)。あれがなければもっと上の順位にいたはず」と、2番人気ながら12着で大きなポイントを加算できず地方西日本で暫定9位に留まる加茂騎手が不満を示すと、岡騎手は「だからこそ勝負は面白いじゃん」と笑顔で応戦。デビュー時期が半年違いとあって、絆の深さとライバル心が同居する。ただ、暫定4位ながら岡騎手も悠長には構えていられる状況ではなく、下位にはTR笠松で2鞍騎乗を残す騎手も多い。ここで少しでもポイントを稼いでおきたいところ。そこに暫定トップの濱尚美騎手(高知)がやって来て、「持ちポイントのうち下位の12ポイント(4着)と10ポイント(5着)を打ち消したいので、それ以上の着順を目指したいです」と話した。

第1戦は最内枠の逃げ・先行タイプの馬に騎乗の加茂騎手と、同型で大外枠の長江慶悟騎手(笠松)が人気を分け合う形。しかしながら、開催前に全周に砂が補充され、この日ここまで逃げ切り勝ちはJRA1勝クラスとの交流戦でのJRA馬など2頭のみ。地元騎手たちは口を揃えて「馬場が難しい」と話した。

逃げたのは内の加茂騎手。間に角田大和騎手(JRA)を挟んで3番手外の長江騎手はやや掛かり気味にレースを運んだ。その長江騎手を警戒し、加茂騎手がやや外を回していたところ、3~4コーナーで内をすくってきたのは浅野皓大騎手(愛知)。さらに4コーナーで後退してきた加茂騎手と長江騎手を避けるように内に切り替えた角田騎手と、インでじっとしていた濱騎手も内から伸びる中、外から松本大輝騎手(JRA)が鮮やかに差し切って勝利を収めた。出場騎手中最多となる3勝目を挙げ、3馬身差の2着に濱騎手、半馬身差で角田騎手、4着に浅野騎手、河原田菜々騎手(JRA)が5着だった。

逃げた加茂騎手は「外から来られて、『ペースが速くなる。来るな』と外を回ったら、浅野騎手に内をすくわれました」と悔しそうな一方、それを味方につけたのが勝った松本騎手。「外の馬が引っ掛かって、角田騎手が苦しい展開だったのでラッキーと思いました」。2着の濱騎手も「逃げ馬が思ったより外を通っていたので、ちょうどいい位置を通れました」と、内を走りながらも砂は深すぎることはなかったようだ。

第2戦は角田騎手が単勝1.6倍の抜けた人気。専門紙に二重丸が多く並ぶことに加え、第1戦で追える騎乗を見たファンの後押しもあったことだろう。その期待通り、前2頭を見る3番手から直線で抜け出して完勝。2馬身半差での2着争いは河原田騎手が先着し、ハナ差で3着に逃げた濱騎手。4着には中山蓮王騎手(佐賀)が差し、5着に松本騎手だった。

写真判定となった2着争いを制した河原田騎手だが「息を入れる競馬ができていたら、もっと好勝負できていたかもしれません」と悔やみ、濱騎手は「無理してハナを主張してしまった」と上位入着ながら反省。一方、掲示板外でも争いは繰り広げられていて、6着・岡騎手が「加茂騎手が来てまた伸びてくれました」と話したことでバトル再びかと思いきや、加茂騎手(7着)は「第1戦のような逃げよりも追い込みの方が乗りやすいです。第2戦は自分の競馬ができました」と悔しい中にも納得の表情だった。

地方西日本の暫定順位は上位2名に変わりはないが、1位・濱騎手は2着・3着のポイントを獲得でき、85ポイントに伸ばした一方、2位・大畑慧悟騎手(愛知)は8着・8着で8ポイントのみの加算。岡騎手が4位から3位に浮上したが、5位・長尾翼玖騎手(兵庫)が2鞍騎乗を残すなど、TR笠松で騎乗予定の下位騎手にもまだファイナル進出の可能性が残されている。昨年、TR金沢で勝利を挙げた中山騎手は8位で戦いを終え、「実力不足を感じました。もっと技術を向上させたいです」と帰路についた。

JRA西日本はTR3勝目を挙げた松本騎手がトップに立ち、角田騎手も3着・1着の高ポイントを獲得したことで順位は3位のまま変わらないが55ポイントから80ポイントに伸ばした。また、河原田騎手はファイナル進出圏内の4位に浮上した。

いよいよTR西日本は次回10月11日の笠松でラストとなる。


取材・文大恵陽子

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 松本大輝騎手(JRA)

返し馬から行きっぷりが良く、スタートさえ決まればいい位置で競馬をしようと思っていました。前がしんどい展開になった分、楽に競馬ができました。昨年、ミスした点を修正した部分もありますが、3勝は運が良かったのと馬が頑張ってくれて感謝しています。同期とファイナルに行けそうで嬉しいです。

第2戦1着 角田大和騎手(JRA)

スタートがあまり出ないと聞きましたが、返し馬で状態の良さを感じ、スタートも出られるよう準備しました。1コーナーで楽な位置に入ることができ、「勝負はもらった」と思いました。ファイナルに行けることになれば、そこからが本番だと思います。優勝を目指したいですね。