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第70回日本テレビ盃JpnII

休み明けでも貫録勝ち
  BCで再び世界の頂点へ

1着馬にJBCクラシックJpnIの優先出走権が与えられる日本テレビ盃JpnII。今年最大の注目は、ドバイ遠征後の復帰戦を迎えるウシュバテソーロの参戦だ。ダート転向後、瞬く間に国内ダート界の頂点に立ち、3月のドバイワールドカップGIでは圧巻のレース内容で世界を驚かせた。そんなナンバーワンホースを一目見ようと、パドックには多くのファンがひしめき合っていた。単勝オッズは1.6倍。休み明けや斤量などのハンデや、実績のない距離でも負けられない戦いだ。

予想通り逃げたのはミトノオーで、スワーヴアラミスが2番手。ウシュバテソーロは3番手につけ、いつもより前の位置取りでレースを進めた。その後ろにシルトプレが続き、テンカハル、セキフウは中団を追走した。

3~4コーナーで前の2頭が並んだところに、外から襲いかかったウシュバテソーロ。あっという間に抜き去ると直線では楽に突き放し2馬身半差で貫録の勝利。ワールドクラスの走りを目の当たりにしたファンからは大歓声が上がった。

2着は直線で末脚を伸ばした5番人気のテンカハル。「状態は良かったです。最後まで止まらずに走ってくれました。さすがに勝ち馬は強かったですが、これからが楽しみな馬です」と坂井瑠星騎手はコメントした。

今回は積極策だった6番人気スワーヴアラミス(大井)が最後まで粘って、1馬身半差で3着を確保した。初コンビの森泰斗騎手は「今までとは違ったレースをしてくれというオーダーでした。3~4コーナーでは少し行きすぎるくらいでしたが、聞いていた気の悪さは見せずに良い馬でした。ミトノオーより手ごたえは良かったんですけど、勝ち馬に並ぶ間もなく交わされてしまい、シュンとしてしまいました」と振り返った。

秋の始動戦をきっちりと勝利し次の大舞台に向けて弾みをつけたウシュバテソーロ。高木登調教師は「勝って当たり前という今回のプレッシャーはかなりきつかったですよ。単勝1倍台というのは居心地が悪いです(笑)」と胸をなでおろした。「調教でできることは全部やってきましたが、使わないとこれ以上は上がってこないなという状態でした。暑さにあまり強くないのですが、牧場では涼しい時間に乗ってもらって、エアコンをつけながら上手く過ごせたと思います」

川田将雅騎手は「1800メートルという距離と、もう1頭人気をしていたミトノオーとの兼ね合い、今日のこの馬の状態を考慮してあのポジションを取る選択をしました。現状、世界で一番上のクラスにいることは間違いないですから、ここでは負けてはいけないという思いで来ていますし無事に走ってくれました」と振り返り、「アメリカで頑張るこの馬を心から精一杯応援していただけたらと思います」と力強いメッセージをファンに送った。

そして前日の白山大賞典JpnIIIでウィルソンテソーロが優勝し、連日の表彰台となった了徳寺健二オーナーは「通過点ですが本当に良く走ってくれました。でも世界一になった馬がみっともない走りはできないと思っていましたのでほっとしています」と安堵の笑顔。ウシュバテソーロはこの後、10月後半にアメリカへ旅立ち、11月4日に行われる、ブリーダーズカップクラシックGIに挑む。一方、ウィルソンテソーロは11月3日のJBCクラシックJpnIに向かう予定。日米のビッグレース優勝に向けて、大注目の2日間となりそうだ。

取材・文秋田奈津子

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

川田将雅騎手

返し馬の感じはこれを使ってよくなるのだろうという動きでした。それを加味して競馬を組み立てました。日本馬がまだ勝ったことのないBCクラシックという世界一を決めるレースにウシュバテソーロがチャレンジできることを有り難く思いますし、それまで本当に無事に過ごしてほしいと思います。

高木登調教師

レースは思った以上に前に進んでくれましたね。終いは確実にきてくれると思っていましたが、頼みます!という感じでした。やはり休み明けという雰囲気で多少緩さがありましたが、ここを使って良くなると思います。BCクラシックに挑めることをとても光栄だと思っていますので、頑張りたいです。