直線並ぶ間もなく差し切る
中長距離新王者が貫禄の連覇
姫山菊花賞には、面白いデータがある。2016年から20年までの連対馬2頭のうち1頭は過去に連対経験があり、21年は2頭とも連対経験馬だった。昨年は、一昨年の覇者ジンギが3着と連対こそ外したが、複勝圏内は守っており、過去の結果が直結しやすい傾向だ。その点からも、連覇を狙うラッキードリームは不動の軸と言えた。
ラッキードリームの強調材料は、それだけではない。北海道で三冠馬に輝き、南関東オープンを経由して、兵庫に移籍後も1年少々で、昨年のこのレースを含め重賞4勝。北海道時代から数えると、ここまで重賞は通算9勝。昨年まで兵庫の中長距離で王座に君臨していたジンギを直接対決で2度下し、今年は名実ともに中長距離の新王者と見られていた。
元王者ジンギが休養中で、他地区からの参戦も今年6戦して6着が最高という川崎のアイアムレジェンドのみ。強敵が不在で、ラッキードリームの単勝は1.1倍と人気は1本被り。2番人気は夏の摂津盃2着のタイガーインディで5.3倍、3番人気以下は10倍以上で、馬券の興味はラッキードリームの相手探しという様相だった。
ラッキードリームの新子雅司調教師が今回の最大のポイントと挙げたのがゲートだった。ゲート裏ではテンションが上がり心配されたが、調教師自ら尻尾を持ってのスタートで無事に決めると4番手につけた。
前を見ると戦前の予想通り、逃げたのはタイガーインディ。だが、スタンド前の直線でアイアムレジェンドが脚を伸ばし強引にハナへ。負けじとタイガーインディが外から競りかけ、出入りの激しい流れとなった。
3コーナー手前。タイガーインディが先頭に立つと、離れた3番手を追走していたエイシンビッグボスが外に並ぶ。2頭の追い比べが始まった。4番手から前の動きをうかがっていたラッキードリームは直線に入ると、2頭の競り合いを外から並ぶ間もなく差し切り、2008、09年のマルヨフェニックス(笠松)以来となる連覇を果たした。1馬身半差での2、3着争いは、クビ差でエイシンビッグボスが制した。
エイシンビッグボスの吉村智洋騎手は「1700メートルも悪くないし、最後まで辛抱できた」とテン乗りだった相棒を称えた。3着に敗れたタイガーインディの廣瀬航騎手は「(アイアムレジェンドに)競られた。これが競馬ですね」と悔しさをにじませた。
ラッキードリームの下原理騎手は前週の園田プリンセスカップ、日曜日の佐賀・鳥栖大賞に続き1週間で重賞3勝と絶好調だ。「いつも大きくは勝てないが、しっかり差し切ってくれるので、力はかなりある」と能力の高さに信頼を寄せる。
兵庫の調教師として新記録となる年間重賞11勝目を達成した新子調教師は「前走よりピリッとして、元気になっていた」と振り返った。まだ今年は3カ月残す中で、今後も有力馬が目白押し。年間重賞勝利記録は、さらに更新されそうだ。
ラッキードリームの今年の最終目標は昨年も勝っている園田金盃(12月7日、1870メートル)の連覇だ。JBCクラシックJpnI(11月3日・大井)を経由するか、直行するかは、様子を見ながら決められる。
取材・文松浦渉
写真桂伸也(いちかんぽ)
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新子雅司調教師
ゲートは一瞬、反応が鈍かったが、しっかり出ることができました。あとは前の馬をしっかりとらえて、抜け出してから遊ばないかどうかでした。前走後は白山大賞典も視野に入れて調整していたが、輸送に弱い面があったのと、間隔が短かったので、地元のこちらに決めました。







下原理騎手
ゲート裏で、スイッチが入って怖かったし、ちょっと危なかったが、尻尾を持ってもらって五分に出れた。スタンド前でペースが速くなっても、慌てずに進めました。向正面で行こうと思ったが、エイシンビッグボスが先に動いたので控えて、1回休憩してから動く形にしました。