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第57回東京盃JpnII

雨の不良馬場でレコード勝ち
  地元馬3頭も掲示板の健闘

一気に季節が進み肌寒いくらいの大井競馬場。この日は朝から雨が降ったり止んだりの空模様で、メインレースの頃には水の浮く不良馬場となっていた。

今年はJBCスプリントJpnIと同じ舞台で行われる重要な前哨戦、東京盃JpnII。今年ダートグレードを優勝しているJRAのリュウノユキナ、ケイアイドリー、ドンフランキーに加え、地方からも実績のあるギシギシやジャスティンなどが顔を揃えての13頭立て。ドンフランキーが単勝1.4倍と圧倒的な支持を集めていた。

ゲートが開くと抜群のスタートを切ったギシギシが前に出たが、ドンフランキーが外から押しながら先手を取りきった。直後の内にジャスティン、馬群にケイアイドリーやリュウノユキナ、外にはマックスなど、好位集団は固まってレースが進んだ。

4コーナーでジャスティンが最内を突いて先頭に躍り出ると、ドンフランキーは馬体を併せずに馬場の中央側を選択。直線半ばで先頭に立つと、外から伸びてきたリュウノユキナを並ばせることなく1馬身差をつけゴールを駆け抜けた。勝ちタイムの1分10秒0は2011年スーニのコースレコードを0秒1更新した。2着はリュウノユキナ、さらに1馬身半差の3着にはジャスティンが入った。

巨漢馬としても注目されているドンフランキー。2走前のプロキオンステークスGIIIを594キロで優勝し、JRA重賞での最高体重勝利記録を樹立。今回は588キロでの出走で重賞2勝目をマークした。大きな馬体から繰り出すスピードにはますます磨きがかかっているようで、「最後まで踏ん張ってくれて力のあるところを見せてくれました。まだまだダート戦線で底を見せていないですし、これからも頑張ってくれると思います」と池添謙一騎手は評価した。齋藤崇史調教師は「大きい馬ですが……、もっと大きくなれるかは分かりませんが、最高馬体重勝利を目指して頑張ります」と笑顔だった。

気になる今後についてだが、JBCには向かわず「この夏の3戦はなかなかタフなレースだったので少し休ませたい」(齋藤調教師)とのこと。早ければ、年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnIII、年明けになるなら根岸ステークスGIIIあたりを考えたいそうだ。

通算51戦目となった古豪リュウノユキナは重賞での2着がこれで8回目。横山武史騎手は「よく頑張ってくれました」と一言。JBCスプリントJpnIではもちろん有力馬の1頭になるだろうが、過去2回は21年金沢・5着、22年盛岡・2着なだけに得意の大井コースで三度目の正直なるか。

そして今年は地元大井所属馬が3着から5着に入り健闘した。JRAからの転入2戦目だった3着ジャスティンの森泰斗騎手は「一発を狙って内を選択しました。前走より状態も良くなっていたし、本番で逆転を狙います」とコメント。坂井英光調教師も「雨馬場がダメでしたね。でも手応えは掴んだレースになりました。JBCはチャンスがあると思います」と前向きに語った。

直線しぶとく粘ったギシギシが4着。「スタートも出て理想的な運びでした。直線で外から他の馬が来ていればもうひと伸びあって3着はあったと思います。調子も良くなっていて以前のような行きっぷりが出てきました。内容のあるレースができました」と笹川翼騎手は次に向けて好感触の様子だった。

5着のマックスも含め、地方馬たちもJBCに繋がるレースができたようだ。

取材・文秋田奈津子

写真宮原政典(いちかんぽ)、NAR

Comment

池添謙一騎手

先行するには厳しい枠でしたがいいスピードを見せてくれて、直線を向いた時には良い手応えで沈むように反応してくれたので大丈夫だろうなと思いながら追っていました。大井競馬場では重賞をなかなか勝つことができませんでしたが、今日は1番人気のプレッシャーの中、勝つことができて良かったです。

齋藤崇史調教師

初めての大井競馬でしたが輸送してからもリラックスしていて落ち着いていました。ハナに立つのも時間がかかりましたし、4コーナーでジャスティンに内をすくわれた時には大丈夫かなと思いました。苦しい展開ではありましたが、最後は力強く伸びてこの馬の実力を見せてくれましたね。