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第20回レディスプレリュードJpnII

末脚勝負でゴール前接戦を制す
  ダート牝馬路線に新たな期待馬

昨今の大井競馬場は砂が軽く、南関東4場のなかでも時計が出やすい傾向にあった。特に前日の未明から降った雨によって馬場が悪化した東京盃JpnIIではドンフランキーがコースレコードを樹立。この日も前半レースから高速決着が続いていた。

そんな大井にダート牝馬の一線級10頭が集結。条件によって勝ち馬が変わる今の牝馬路線だけに、この馬場状態がレースにどう作用するか注目された。

先手を奪ったのは大井のノーブルシルエット。昨年のJBCレディスクラシックJpnIの覇者ヴァレーデラルナ(JRA)が2番手につけ、大井のジュランビル、浦和のスピーディキックが続くなかで、外からテリオスベル(JRA)が先頭を目指して上がっていく。馬場傾向も影響して中盤もペースは落ちず、よどみないラップを刻んでレースは進んだ。

3コーナーで先頭に立ったテリオスベルを目指し、他のJRA勢が追撃態勢に入る。直線に向くとライオットガール、グランブリッジが馬場の中央に持ち出し、さらにアーテルアストレアがその外へ。先行勢の脚が鈍ったところへ、3頭の末脚が炸裂。見応えのある叩き合いが演じられ、しまいの切れに優るアーテルアストレアがクビだけ差し切ったところでゴールを迎えた。

3月のエンプレス杯JpnIIでは4着だったアーテルアストレアだが、2度目の重賞挑戦でタイトルを獲得。持ち前の末脚を生かし切っての勝利だった。5日前に負傷した菱田裕二騎手に替わり、急きょ手綱をとった武豊騎手は「菱田騎手から細かく癖を教えてもらいました。(実績のない)右回りでは、確かにコーナーでスピードが落ちるところはありましたけど、大井は直線が長いので大丈夫だと思って乗っていました」と、責任を果たした充実感をにじませる。橋口慎介調教師も「右回りが苦手と思っていたので、その点が心配でしたが、最後はいい脚を使ってくれました」と、課題を克服したアーテルアストレアをねぎらった。

1番人気のグランブリッジが2着。勝ち馬と並ぶ上り時計で鋭く差してきたが、最後は1キロの斤量差が影響したか。「前回より具合も良く、いい走りができました」と川田将雅騎手。自在に立ち回って崩れないのは強みで、JBCレディスクラシックJpnIでも主役級の走りを見せてくれるに違いない。

3着のライオットガールは初めての古馬重賞で好走。岩田望来騎手は「いい形で競馬ができたけど、踏み出しが早すぎて差されてしまいました」と話したが、初物づくしだけに価値が高い。今後の成長次第で、この路線の中心的存在となるに違いない。

今年のJBCレディスクラシックJpnIは、今回と同舞台、同距離。しかし、本番では新たに重要な要素が加わる。大井競馬場ではこの開催終了後に砂の入れ替え工事を実施。地方競馬で広く使われるようになったオーストラリア産の白い砂を、コース全面に敷設する。実際にレースを行ってみないことには分からないが、仮に力の要る馬場になれば今回と全く違った結果になる可能性が高く、そうした馬場への適性が高いテリオスベル(4着)やスピーディキック(5着)の巻き返しも十分に考えられる。混沌とするダート牝馬の頂上決戦を楽しみに待ちたい。

なお、グランダム・ジャパン古馬シーズンは、このレースで全日程を終了。単独トップに立っていた大井のジュランビル(10着)がこのレースで2ポイントを加算し、合計38ポイントで第14代女王に輝いた。

取材・文大貫師男

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

武豊騎手

菱田騎手から教えてもらった通りの特徴や癖だったので、いいアドバイスをもらいました。他の馬のことは気にせず、前半はじっくり行って最後の直線にかけるレースを心がけました。最後までずっと伸びてくれましたね。JBCレディスクラシックと同じコース、距離なので、次も楽しみです。

橋口慎介調教師

右回りが苦手だなと思っていたので、そのあたりが心配だったのですが、最後はすごくいい脚を使ってくれて強い勝ち方でした。言うことはない内容だったと思います。次走はJBCレディスクラシック。もともと使ってから状態を上げてくる馬なので、次はもっといい状態で出られると思います。