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第1回ネクストスター笠松

早め先頭から後続を完封
  人気にこたえ無傷の5連勝

ここ数年、この時期の笠松所属の2歳馬は、地元デビュー馬より門別から移籍してきた馬のほうが成績良好という傾向がある。しかし今年は、笠松でデビューしここまで4戦4勝のワラシベチョウジャが別格の存在。単勝1.2倍の断然人気でレースを迎えた。そして、その人気に応える形で早め先頭から押し切り、無敗を守って重賞を制した。

ただ、不安がないわけではなかった。

前回の開催が終了した後、雨で流されて内ラチの下に溜まっていた砂を馬場の内側に戻す作業が実施されたことで「インコースはモコモコしていて走りにくい」(向山牧騎手)という状態。そのため内側から2メートルほどの間には蹄跡がほとんど残らず、前開催に比べると差し馬の台頭が多いという傾向になっていた。その状況での1番枠は、ワラシベチョウジャにとって克服が必要といえるところ。さらにパドックでは気負いが感じられる歩きをしていて、ときおり尾をさかんに振っていた。

それでも手綱を取った渡邊竜也騎手は「包まれないようにすれば大丈夫」と考えていたとのこと。ゲートが開くと、好スタートを切って先行したブルーチース、クリスタライズ、そして同じ厩舎のエイシンコーネリアの後ろにできた空間におさまる位置を確保した。

向正面でもワラシベチョウジャは4番手を進んで流れに乗っている形。そして3コーナーあたりで前を行く3頭のスピードが鈍ると自然な形で先頭に立ち、そのままの勢いを守り切って勝利を飾った。

しかし渡邊騎手にはこれまでとは違う感覚があったようで「ゴール手前では後ろから脚音が聞こえてきました。差されることはないと思っていたんですが、迫ってこられましたね」と振り返った。このあたりは「気温が下がって、少し毛艶が落ちてきている感じがします」(笹野博司調教師)というところが出たのかもしれない。

それでも門別でJRA認定競走を勝ち、笠松での初戦を逃げ切ったキスリングに1馬身半の差をつけ、3戦連続で2着に負かしているアコーは2着から1馬身差で3着。現時点で笠松所属の2歳馬ではトップに立っていることを、改めて証明することになった。

ところで笠松所属馬は、昨年6月にクイーンカップを勝ったドミニク以来、地元所属馬限定戦を除いた重賞での勝ち星がない。ワラシベチョウジャには、その不名誉な記録にピリオドを打つ存在になることも期待される。

ただ、今後について水を向けられた笹野調教師は「このレースが目標だったので」と、笑顔を見せながらホッとした口調。「月に1度のペースで出走させてきましたし、今後のことはこれから考えます」と話した。

取材・文浅野靖典

写真岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

渡邊竜也騎手

プレッシャーはありましたが、強い馬に乗せてもらえることを楽しみながら調整してきました。他の馬にマークされる形にならなかったので、前が開いたところで仕掛けたら反応がよかったので、早めに先頭に立つ形になりました。笠松の代表として恥ずかしくないと言えるように成長してほしいと思います。

笹野博司調教師

今の馬場状態だと最内枠は不安なので、早めに動いてほしいと考えていました。後ろから差されることはないと思っていたので、前の馬を交わしさえすればという気持ちで見ていました。これからの選択肢はいろいろありますが、精神的に心配なところが残っていますし、まずは厩舎に帰ってから様子を見ます。