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第1回ネクストスター園田

ベテラン川原騎手の好判断
  クビ差しのいで重賞3連勝

各地で熱戦が繰り広げられているネクストスター。盛岡のフジユージーンや金沢のダヴァンティなどデビューからの連勝を伸ばす馬もいれば、佐賀のウルトラノホシのように前走から巻き返す馬もいる。

ネクストスター園田で中心となったのは、無敗の3連勝中のマミエミモモタロー。そのうち2勝は今回と同距離の重賞となれば不安材料は見当たらず、単勝1.3倍に支持された。相手筆頭はクラウドノイズで4.5倍。世代最初の重賞・兵庫ジュベナイルカップは逃げるもマミエミモモタローから3秒2差の10着と大きく敗れてしまったが、その後に逃げて2連勝していた。また、未対戦組からは2連勝中で鞍上に高知の赤岡修次騎手を配したトウケイカッタローや、キャリア1戦ながらデビュー戦を好タイムで勝ったマルカイグアスが相手候補とされるオッズとなった。

好スタートから逃げたのは戦前の予想通りクラウドノイズ。外にダイジョバナイがつけ、その後ろにマミエミモモタローが続いた。向正面半ばで前の2頭がリードを広げはじめ、一瞬ヒヤッと感じさせる場面もあったが、マミエミモモタローは4コーナーで先頭を射程圏に入れると、中団から差してきたトウケイカッタローをクビ差凌いで重賞3勝目を挙げた。

これまでと異なり僅差での勝利に諏訪貴正調教師は「勝った……と思うんだけど」とゆっくりと笑顔になると舞台裏をこう明かした。

「クラウドノイズは前走の時計も上がりも速いから、逃げ残るかもしれない、と僕は思っていたんですけど、川原騎手は『あまり急ぐと後ろの馬に差されるから、ギリギリまで溜めて交わします』とレース前に話していて、その通りの内容。さすがの名手ですよね」

ただ、レース内容にはやや物足りなさを感じたのも確か。川原正一騎手が「ゴール前で脚が上がったのは、間隔があったからかなと思います」と1カ月半ぶりだった点を挙げると、諏訪調教師も「それなりに仕上げたつもりでしたけど、レース内容を見るとプラス11キロは成長分だけでなくちょっと重たかったのかなと思います」と話した。このあとはひと息入れた後、12月1週目のJRA認定アッパートライで初の1700メートルを経験させ、大晦日の園田ジュニアカップ(1700メートル)、さらに来年は「兵庫ダービーを目指します」と諏訪調教師。

マミエミモモタローが勝つたびに主戦の川原騎手は自身の持つ地方競馬の重賞最年長勝利記録を更新(64歳6カ月28日)しているのだが、待ったをかける馬は出現するのか。2着トウケイカッタローの赤岡騎手は「手前を替えてからの弾け方がすごくて、直線がもう少しあれば楽に交わせていました。今日は試してみたくて最内を走らせたら他馬にビックリしていましたけど、スタートセンスが良くなれば相当走ると思います」と将来性を話した。

また5着マルカイグアスは大外枠から終始外を回らされる展開になってしまい「下手に乗りました」と田中学騎手は話す一方、「体はまだ重いところもあって、今後良くなると思います」と期待を寄せる。

マミエミモモタローの馬名由来は3人の名前。馬主の間宮さとこ氏と、昨年の北海道サマーセールを見に来ていた漫才コンビ・ハイヒールのモモコさんと友人のエミさんに、牡馬のため『タロー』をつけた。個性的な馬名の初代王者は、ここからさらなる高みを目指す。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

川原正一騎手

調教は結構乗っていて、プラス11キロは間隔が空いたのと成長分もあったと思います。今日は逃げ馬を見る2~3番手からと思っていました。手応えはいつもより物足りない感じでしたが、これから力をつけてくるでしょうし、こんなもんじゃないと思います。調教を任されているので、最善を尽くしたいです。

諏訪貴正調教師

先を見据えて、やや余裕残しで作りたい思いもありましたが、結果的に成長分に加えて少し余分な肉が乗っていたのかなと思います。1コーナーでは外を回されたので一瞬不安はありましたが、なんとか押し切ってくれました。ライバルもどんどん力をつけているので、モモタローも力をつけていきたいです。