中団から強気の仕掛けで完勝
北海道2頭が能力差見せる
昨年の金沢シンデレラカップは、現在も快進撃を続けるショウガタップリが快勝。今年も同じ馬主で同じ厩舎が送り出すショウガフクキタルが単勝4.0倍の3番人気と期待を集めた。
ただ、今年はこのレースの前にネクストスター競走が行われたことが昨年と違う点で、そこで勝利した牝馬のダヴァンティは回避。北海道と兵庫から各2頭、大井から1頭が遠征してきたが、人気を集めたのは北海道の2頭だった。なかでも前走の園田プリンセスカップで2着に入ったシトラルテミニが単勝1.5倍と断然の支持。パドックでは気合が感じられる歩きを見せていた。
2番人気は3.9倍でバラライカ。大きいチークピーシーズを装着してゆったりとした姿で歩いていたが、パドックではゼッケン1番でも他馬より1周多く回り、最後に馬場へと向かって行った。
逆に先に馬場入りしたのがハリウッドスマイル。前走まで門別所属で、今回は金沢での初戦となる。テンションが上がりやすいタイプとのことで、そのあたりが考慮されたようだ。
ただ、上位人気3頭とそれ以外の7頭とのオッズの差は大きく、4番人気は17.0倍で大井のサフィールシェール。そのほかの6頭は50倍以上で、単勝万馬券も3頭いた。
この日は夕方まで『ウマ娘プリティーダービー』とのコラボイベントが実施されていた関係で、すっかり空が暗くなった18時5分の発走でも「通常の日曜日より観客が多い」と地元在住のファン。そのなかでゲートが開くと、サフィールシェールが先手を主張し、最内枠の利をいかしたバラライカが2番手につけて1コーナーを迎えた。シトラルテミニは5番手を追走したが、向正面のなかほどから遠くからでもわかるほどの手応えで上昇。3コーナーでサフィールシェールに並んだ。
インコースを進んだバラライカも3コーナーあたりから前を追う形。続いて中団にいたショウガフクキタルも上昇してきた。しかしこのメンバーでの力関係となると北海道のほうが上で、3~4コーナーで先頭に立ったシトラルテミニが押し切り勝ち。バラライカは最後まで粘りを見せたが、残り300メートルあたりから盛んに尾を振る走りで2馬身差の2着だった。
それでもバラライカの小国博行調教師は「今日はまともに走ったほうですよ。吉原騎手が完璧に乗ってくれました」と満足そう。吉原寛人騎手も「イメージ通りに乗れました。あとは気性だけですね」と話した。
地元代表のショウガフクキタルは3着。ただし最後の直線では突き放されて、2着馬からは2秒4の大差をつけられた。青柳正義騎手は「少し疲れがあるのかもしれないですね。でも後方からでも競馬ができたのは収穫になりました」とコメント。最後の直線だけで3着馬にアタマ差まで迫った兵庫のイマナンジャナイは、竹村達也騎手が「あと一完歩でしたね。でも馬の状態は良くなってきています」と笑顔を見せた。
しかしながら連勝式の払い戻しは、2番人気だった枠連単を除くとすべて1番人気の組み合わせ。北海道所属馬の実力を見せつけられる結果になった。
取材・文浅野靖典
写真早川範雄(いちかんぽ)
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田中淳司調教師
前回も今回も輸送は問題なかったですね。1周の競馬にも慣れてくれたように感じます。今日の内容ならそれほど消耗していないでしょうから、レース間隔は短いですがラブミーチャン記念を目指してもいいかなと思いますね。精神的にも成長していますし、田中学騎手も自信を持って乗ってくれました。
田中学騎手
前走はスタートがいまひとつでハミ受けもあまり良くなかったので後手に回ってしまったこともあって、今回は強気に乗ろうと考えていました。前に行く馬が3頭か4頭ほどいると予想していたので中団からになりましたが、向正面で仕掛けてからは、いい伸びを見せてくれました。