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第69回平和賞

勝負根性を発揮し直線盛り返す
  北海道・田中淳司厩舎がワンツー

2003年に広域交流となって以降、ホッカイドウ競馬勢が6度制している一戦。今回も2歳王国の実力を示すべく4頭が参戦した。

なかでも田中淳司厩舎はブリーダーズゴールドジュニアカップで2着のカプセル、前走のウィナーズチャレンジを4馬身差で制して勢いに乗るキタノヒーローの2頭出し。2週前に行われた鎌倉記念(サントノーレ)に続く南関タイトルの獲得へ意欲を見せていた。ほか、昨年のこのレースをプルタオルネで制した小国博行厩舎所属のオオイチョウ、名門・堂山芳則厩舎のルーラーオブダートも虎視眈々。北の激戦で磨かれた、ハイレベルな走りが期待された。

レースは最内枠からダッシュを利かせたカプセルが先手を奪い、川崎のコルベットが2番手。キタノヒーローがその直後につけ、中団にオオイチョウ、最後方にルーラーオブダートが控えた。前半の3ハロンは37秒6で平均的な流れ。各馬一団となって勝負どころを迎えた。

4コーナーを回ったところでコルベットが絶好の手応えで先頭へ。しかし、カプセルも笹川翼騎手の叱咤に応えて盛り返す。そして直線の半ばでコルベットを振り切ったカプセルは、外から伸びたキタノヒーロー、オオイチョウの追撃をしのぎ切り、3/4馬身差で勝利。2着にキタノヒーローが入り、田中厩舎のワンツーで決着した。

4コーナーではそのまま後退していくような手応えだったカプセルだが、3走前のウィナーズチャレンジでも差し返して勝っているように、勝負根性は相当なもの。笹川騎手も「物見をしたこともあって前に出られましたが、最後まで走り切れば勝てるという手応えでした」と感触を口にする。少し速めの時計で推移していたとはいえ、1分42秒9(良)の時計も上々。奥の深さを感じるレースぶりも含めて、今後への期待が高まった。

2着のキタノヒーローは4コーナーで外に持ち出すと、馬場の真ん中を力強く伸びた。吉原寛人騎手は「イメージ通りに乗ることができて、最後もしっかり伸びてくれた。力はあるし器用な競馬ができたので、今後が楽しみ」と立ち回りのうまさを評価する。初物づくしに加え、重賞初挑戦だけに今後が楽しみになる走り。成長次第でチャンスが巡ってきそうだ。

大外を伸びたオオイチョウが3着に入り、ホッカイドウ競馬所属の3頭が上位を占めた。本橋孝太騎手は「1~2コーナーで呼吸が合わなかったんです。スムーズなら勝てていたと思います」と唇をかんだが、直線の外を豪快に伸びた走りは悪くなかった。今後も馬場や展開次第で存在感を示すに違いない。

南関東勢ではメンバー最速の末脚で追い込んだビッグショータイム(船橋)の4着が最高で、一度は先頭に立ったコルベットが5着。結果的には2歳王国の実力を見せつけられた形だが、それぞれの内容には見どころがあった。各馬の成長を楽しみに待ちたいところ。

取材・文大貫師男

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

笹川翼騎手

仕上がっていたし、素晴らしいしつけをされていて乗りやすかったので、これならレースに行っても全能力を発揮できるなという雰囲気でした。道中はほかの馬を気にするというよりは馬のリズムを守って、最後は必死に追いました。まだまだ成長できる部分もありますので、将来的に楽しみな逸材です。

田中淳司調教師

結果を出してきている馬なので自信はありましたが、(ワンツーフィニッシュは)うまく行きすぎですね。カプセルは距離に関係なく走ってくれますが、今回のレースを見るとマイルぐらいが一番合っている感じです。今後はオーナーさんとの相談次第ですが、全日本2歳優駿が目標になるかなと思います。