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第56回ハイセイコー記念

直線突き抜け8馬身差圧勝
  無傷の5連勝で目指す新三冠

南関東SI格付のハイセイコー記念は2歳戦で6つ目の重賞となるマイル戦。歴代の優勝馬からは多くのクラシックホースが輩出され登竜門的なレースとされている。1着馬には全日本2歳優駿JpnIへの優先出走権が与えられることからも、全日本的なダート競走体系においても重要な位置づけと言えるだろう。

11頭立てで争われた今回、ダテノショウグンの8馬身差圧勝劇には驚かされた。時期こそ違うが、まるでミックファイアの三冠戦を見ているような突き抜けぶりだった。

今回の大井開催からは馬場の砂がオーストラリア産の珪砂に総入れ替えされ、砂の深さと脚抜きの重さから、開催3日目となるこの日まで2秒近くタイムが余計に掛かっていた。ダテノショウグンの勝ちタイムは1分42秒5。昨年のマンダリンヒーローの勝ちタイム1分41秒7と比べるとかかっているが、その馬場差を考えるとかなり速い走破タイムになる。

先手を取ったのはライゾマティクス。ピコイチ、クルマトラサンと続き、ダテノショウグンは4番手外に位置取った。

御神本訓史騎手が巧みだったのは3~4コーナーでいつの間にかインに潜っていたことだ。直線に入っても逃げるライゾマティクスの手応えにはまだ余裕があるように見えたが、外に持ち出されたダテノショウグンが並びかけスパートすると、そこからはダテノショウグンのひとり舞台。差は広がるばかりで、堂々のゴールとなった。

「勝ち馬をほめるしかない」。2着ライゾマティクスの森泰斗騎手はそうコメントした。自分でペースをつくり、この馬らしいスピード感ある走りを見せたが、最後は脚いろが違っていた。

3着にはクルマトラサン。ゴールドジュニア(1200メートル)では直線弾けて完勝している実績馬。レース前には「短距離タイプの馬かもしれない。マイルに延びてどうか」と話していた張田昂騎手だが、「折り合いもつくし距離も大丈夫そう」と距離に対する不安を払拭していた。

勝ったダテノショウグンはデビューから無傷の5連勝で2歳SI重賞を手にした。管理する森下淳平調教師は初出走から13年にして、東京ダービー2勝を含めこれが重賞22勝目。「タフな馬場を苦にせず強い勝ち方でした。大外枠だったので先行馬の動向を見ながら前目のポジションで追走できればと話をしていたんですけど理想通りの競馬をしてくれました。中央馬を迎え撃てるような馬に育てていきたいなと思います」と、新たなダート三冠を意識したコメントをしていた。この後は休養に出し、中央との交流となる雲取賞から始動する予定だという。

かつてフジノウェーブを地方馬初のJBC制覇に導いた、森下調教師(当時は調教師補佐)、御神本騎手、金成昭厩務員というチームで、ダテノショウグンと共に新時代のダート競馬に立ち向かっていく。

取材・文中川明美

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

御神本訓史騎手

レースをスムーズに進めることができ、無事5連勝で重賞を勝たせることができてホッとしています。大外から有力馬を見ながらリズムよく運んでくれました。直線ではものすごい脚で走ってくれるので、直線を向くまでうまく誘導してあげられればという思いで騎乗しました。今日も変わらずいい脚でした。

森下淳平調教師

初めてのタフな馬場も苦にすることなく強い勝ち方をしてくれました。外枠だったので先行馬の動向を見ながら前目のポジションで追走しようと話していた理想の競馬でした。2歳馬なのでどう成長するかわかりませんが、来年は中央馬を迎え撃てるような馬に育てていきたいと思います。