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第26回エーデルワイス賞JpnIII

ハイペースを直線大外一気
  黒澤騎手が16年目でDG制覇

今年、若干時期を繰り下げて行われたエーデルワイス賞JpnIIIは、2歳戦線最初のダートグレード。

例年、馬の素養や経験の面で地方・北海道勢が優位に立つレースだが、今年もJRA勢は全て1勝クラスで戦歴的に目立った馬がおらず、北海道勢が優勢と目された。

ただ、8月のフルールカップを好時計で勝ち、世代牝馬トップの呼び声が高かったヨシノヒローインが故障のため戦列を離れ、今回の出走馬で重賞勝ち馬は、近走で結果が出ていないシシャモフレンドだけ。北海道勢の中でも実績と力量が拮抗した混戦模様となり、レース当日を迎えた。

この日の門別競馬場は、第8レース終了直後から激しい雷雨に見舞われ、メインレースの時も降り続いていた。今年から導入された白い砂(珪砂)は、多少雨が降っても表面に水が浮くことなく容易に透過する性質があり、時計のかかり具合がそこまで大きくは変化しない特徴がある。それでも、ひとつ前の第10レースをやや強引に逃げた馬が後続を離して勝った影響もあってか、エーデルワイス賞JpnIIIはレース序盤から激戦となった。

これまで1000メートル戦で速さを武器としていたライトヴェールが二の脚を効かせてハナを奪うと、ムーム、ホーリーブライト、スカイキャンバスといったJRA勢が追いかけ、前半600メートルは34秒5のハイラップ。好発を決めたスティールマジックがそれらの直後につけ、さらに後ろにモノノフブラックと、北海道勢の有力馬は控えて前を見る形でレースを進めた。

追いかけたJRA勢が勝負所で早々に手応えを失う中、ライトヴェールは軽快な走りで直線に向き、残り100メートルまでリードを保って奮闘。しかしさすがに最後は脚が鈍り、ゴール前でスティールマジックとモノノフブラックが並んだと思った刹那、大外から矢のように伸びて追い込みを決めたのが、道中で後ろから2番目の位置にいたモズミギカタアガリだった。

3/4馬身差2着・スティールマジックの桑村真明騎手がレース後「思い通りの競馬は出来た。相手の決め手を称えるしかない」と話せば、クビ差で3着・モノノフブラックの服部茂史騎手も「力は出し切った。後ろからあの脚で来られては仕方ない」と語り、勝ち馬の末脚の強靱さをさらに印象づけた。

モズミギカタアガリは、5月のJRA認定フレッシュチャレンジを勝った後結果が出なかったが、前走10月のブロッサムカップ(1700メートル)で、逃げていたそれまで2走とは一転して追い込みの競馬で2着と好走。今回は距離の異なる1200メートル戦でも追い込み、単勝10番人気ながら重賞初制覇を果たした。

管理する米川昇調教師は「(遠征した)札幌のレースで楽に行っているようで止まったあたり、気性的に難しいところがあると感じた。前走で後ろから行く競馬をさせたら、砂を被っても止めずに思い通りの走り。まだよくわからない面のある馬」と話し、これまでの陣営の試行錯誤の跡を窺わせた。

鞍上の黒澤愛斗騎手は、2012年のリリーカップをハニーパイで勝って以来、11年ぶりの重賞制覇。小柄な体躯にも関わらず、繰り出すパワーが溢れんばかりの活発な騎乗ぶりで定評があり、デビュー前から周囲に「いずれ『小さな巨人』になる」と期待された存在。デビュー16年目にしてついに、大きなタイトルを掴んだ。

今年もここまで、各地の2歳重賞を北海道所属馬が席巻している。このレースも4着までを独占。「今後は未定」(米川調教師師)という勝ち馬を含め、今回の活躍馬たちが門別のシーズンが終わるこれからもどんな道を歩んでいくのか、目が離せない。

取材・文坂田博昭

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

黒澤愛斗騎手

皆が速く、中団ぐらいからと思っていたのに後ろからの競馬になりました。前走長いところでいい脚を使っていたので、仕掛け所だけ失敗しなければ、と思って乗っていました。多少砂を被って嫌がりましたが、それにも慣れてきたのかなと思います。思った通り乗れて良かったです。

米川昇調教師

ビックリしています。馬の状態は良く、追い切りも動いていたので期待していましたが、距離が短いのではないかと思っていました。毎回乗っている騎手なので、乗り方は“お任せ”でした。まだフワフワするところがある馬ですが、後ろから行って長くいい脚が使えるのがこの馬の強みです。