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第4回JBC2歳優駿JpnIII

父譲りの末脚で直線強襲
  キャリア1戦でJBC制覇

馬産地北海道で行うJBC2歳優駿JpnIIIは4回目を迎えた。経験を積んだ道営所属馬は7頭。今秋は北海道からの遠征馬が平和賞や鎌倉記念など各地で勝利を挙げ、レベルの高さを示している。JRA馬5頭も全て1勝ながら実力馬が集まった。

久々のデイ開催となった門別競馬場は好天に恵まれ、親子連れや遠征客も加わり賑わった。大井競馬場から東京トゥインクルファンファーレ(TTF)が来場し、地元の富川高校吹奏楽部とのコラボ演奏もレースを盛り上げ、入場人員は普段を大きく上回る2,606人。駐車場には長い列ができた。

1番人気は10月の新馬戦で強さを見せたJRAのフォーエバーヤング。ダートで一変したサンライズジパングが2番人気、道営からはサンライズカップ勝ち馬のパッションクライが3番人気と続いた。

TTFによるファンファーレでスタート。ブラックバトラーが大きく出遅れ、目の前で見ていた観客からざわめきが起きた。フォーディアライフが先頭を奪い、1馬身後ろにインテンシーヴォ、パッションクライが続く。フォーエバーヤングは後方3番手で縦長の展開。

3コーナーでパッションクライが早め先頭に立ち、横にぴったり付けながらサンライズジパングも進出。フォーエバーヤングはまだ中団で、長く脚を使って差を詰め始めた。

直線残り200メートルでサンライズジパングが先頭に立ったところを、外からフォーエバーヤングが強襲し抜け出した。2021年アイスジャイアントに続く1戦1勝での勝利で、タイムは1分54秒3。1馬身半差2着はサンライズジパングで、後方に置かれていたブラックバトラーが追い込み8馬身差3着に入った。

フォーエバーヤングは前週の土曜から門別入りし調整してきた。「持久力勝負なら合うと思っていた。ここまで来た甲斐があった」と矢作芳人厩舎の岡勇策助手。ノーザンファーム早来の津田朋紀場長も「生まれた時からすごくバランスが良くバネのあるいい馬だった。育成も順調で牧場全体で期待していた」と語る。後方からの脚も「父リアルスティールのポテンシャルを感じさせる」と今後を期待させるコメント。門別の重賞初勝利を飾った坂井瑠星騎手は、前半の後方2番手にも「落ち着いて乗っていました」と自信を持って馬のリズムでレースを進めた。

岡助手は今後について「来年から大井で三冠レースもありますし、年明けはサウジアラビア、ドバイといろいろな選択肢がある。どこに行くにしても楽しみ」と世界を見据えた。21年に門別のブリーダーズゴールドカップJpnIIIを勝ち海外GI制覇へと羽ばたいた厩舎の先輩マルシュロレーヌのように、門別からの飛躍に期待したい。

なお、今年のJBC2歳優駿JpnIIIの発売金額はホッカイドウ競馬で1レースのレコードとなる10億875万3000円で、従来の第1回の同レース(9億7489万8000円)を大きく上回った。

取材・文小久保友香

写真浅野一行、中地広大(いちかんぽ)

Comment

坂井瑠星騎手

脚があるのがわかっていたし、直線も長いので落ち着いて乗りました。レース前はなにも不安がないくらいおとなしくて乗りやすい馬。牧場、厩舎で上手に調整してくれているのが強みです。

岡勇策調教助手

無事に長距離輸送もこなしてくれてパドックも前走と変わらず落ち着いていた。素直なところが一番の持ち味。明日から放牧に出る予定で、今後は馬の状態を見て決めます。成長の余地をたくさん残している馬です。