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第18回道営スプリント

夏負けの不安も克服
  直線抜け出し堂々連覇

道営スプリントがホッカイドウ競馬の最終開催での実施となり、1着賞金も1000万円に増額されて4年目。その最初の年は3歳馬ジャスパーシャインが最後方から衝撃の直線一気を決めた。一昨年は、それまで1000メートルで能力を発揮していたアザワクが1200メートルも克服して真のスプリントチャンピオンに。そして昨年は、引退レースとなったアザワクをスティールペガサスがゴール前で差し切り、短距離王座交代を印象付けた。

今年はそのスティールペガサスが連覇をかけて臨む。しかしながらここまで順調に来たわけでない。今季初戦となった4月のエトワール賞を制して以降勝ち星がなく、前哨戦のウポポイオータムスプリントでも5着に敗れていた。それがオッズにも表れ、3連勝で臨んだ昨年は単勝1.3倍だったのに対し、今年は1.9倍。それでも1番人気に支持されたのは王者の貫禄だろう。昨シーズンから短距離に路線変更し、1200メートルの特別戦で6戦連続連対中のリーチが2番人気で4.8倍の支持を受けた。

逃げたのはイッツクールで、2番手がボサノヴァ。今年デビューした新人、宮内勇樹騎手、阿岸潤一朗騎手がレースを引っ張った。互角のスタートから3番手につけたスティールペガサスは直線を向いて桑村真明騎手のムチが飛ぶが、反応はいまひとつ。それでも先頭のイッツクールをとらえにかかると、スマートダンディーも並びかけてきたが、残り200メートルを切ったあたりで抜け出しての勝利。

ゴール前、見せ場をつくったのは6番人気のドウドウキリシマだった。今年夏に中央オープンから転入し、ここまで門別では1200メートルのみ4戦して1勝。前半は流れに乗れず、鞍上の岩橋勇二騎手は追い通し。4コーナーでもまだ10番手あたりという位置取りだったが、直線では馬場の真ん中を一気に伸びた。先頭のスティールペガサスをとらえようかという勢いだったが、1馬身及ばず2着。「(前半は)流れが速くて位置をとれませんでした。それでも直線よく伸びたんですが、単独で2番手になったときに遊んでしまい、ちゃんと僕が走らせていたら、きわどいところまでいったかも」と、岩橋騎手は悔しそうな表情だった。

直線一旦は勝ち馬に迫ったスマートダンディーが2馬身差で3着。逃げたイッツクールが4着で、2番人気リーチは5着。流れが落ち着いたためジャスパーシャインは末脚不発で10着だった。

人気にこたえて連覇を果たしたスティールペガサスだが、今年は北海道の夏が特別に暑かったことで夏負けの影響が伝えられていた。「最終追い切りでいつもの動きがみられず八分くらいのデキでした。4コーナーでのハミ掛かりも本来のものではなかった」と角川秀樹調教師は振り返った。また鞍上の桑村騎手は、2つ前のレースで1着も、ゴール入線後に馬が躓いて落馬し、ヒヤっとする場面があった。それでも歩いて検量室に戻り、「ちょっと体が痛いですけど……」という程度でその後も無事に騎乗できた。そうした不安を払拭しての勝利で、やはり地元同士のこの路線では能力が抜けていた。角川調教師、桑村騎手は、ともに一昨年のアザワクから道営スプリント3連覇となった。

スティールペガサスの今後だが、昨年遠征した笠松グランプリが今年は中1週で難しいことから、12月20日の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIが候補の1つになりそうとのことだった。

取材・文斎藤修

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

桑村真明騎手

(レース前は)しっかり走れる状態だなと思いながら挑みました。3~4コーナーではズブい面を出して、まわりの馬を気にするような感じだったので、直線での脚はあまりよくなかったです。無事2連覇することができてうれしいです。

角川秀樹調教師

去年は万全の態勢で臨めたんですけど、今年は暑い夏が続いたのと、遠征があったりして、なかなかいい状態にもってこれなくて、スタッフは苦労していたと思います。なんとか夏負けを解消したかなという状態にはなったので、とにかく勝ってほっとしています。