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第25回兵庫ジュニアグランプリJpnII

人気2頭の追い比べをハナ差で制す
  ダート転向3連勝で目指すはJpnI

多種多様なメンバーが揃った今年の兵庫ジュニアグランプリJpnII。イーグルノワール(JRA)はデビュー戦こそ芝1600メートルで4着だったが、2戦目にダートに転向すると2連勝。好スタートから先行するレースぶりで、ダートでは無敗でここに駒を進めた。

同じく無敗はサトノフェニックス(JRA)。こちらはデビューから2戦ともダートを使われ、前走・ヤマボウシ賞では出遅れて後方で砂を嫌がって外に逃げる場面もありながら、直線はさすがの差し脚で勝った。人気はこの2頭が分け合う形で前者が単勝2.4倍の1番人気、後者は2.9倍。

3番人気は地方馬だった。今年新設されたネクストスター門別を勝ったトラジロウ(北海道)が5.9倍。重賞2勝を含む5連勝中に加え、過去10年で北海道所属馬は1勝を含む3着以内6回という好成績もファンからの支持を後押ししただろう。さらに兵庫・吉村智洋騎手の騎乗で初勝利を挙げたオーキッドロマンス(JRA)、芝の函館2歳ステークスGIIIを勝ち、新馬戦以来のダートとなるゼルトザーム(JRA)が続いた。

レースの主導権を握ったのはトラジロウ。外からダッシュよくハナを奪い、その外にオーキッドロマンスがピタリとつけた。人気のイーグルノワールは4番手外、サトノフェニックスはスタート一歩目でやや滑るような格好を見せたが大勢には影響がなかったようで、1コーナーで砂を被らない外に持ち出した。

向正面半ばからサトノフェニックスが上昇を開始すると、気配を察知したイーグルノワールも進出。4コーナーからは2頭の追い比べとなり、一度はサトノフェニックスが前に出たように見えたが、イーグルノワールも食らいつく。213メートルの直線をいっぱいに使った意地の見せ合いは、ゴールの瞬間わずかに前に出たイーグルノワールに軍配が上がった。

その判断は写真判定に持ち込まれていたが、スローモーションで勝利を確信した陣営は笑顔で人馬を出迎えると、馬上の松山弘平騎手と熱い握手を交わした。

対してハナ差2着の和田竜二騎手は「展開的に勝ち馬が楽になりそうだったので早めに行きましたが、最後は止まってしまいました。コーナリングで外に膨れるところがあって、課題は解消されてきていますが成長段階です」と、能力を示しつつも、のびしろがまだあると話した。

この1、2着争いから5馬身離れたところでも2頭による接戦が繰り広げられ、後方3番手から大外を回って追い上げたゼルトザームが3着。「トビが大きく器用さがないので、押して行ってもあの位置しか取れませんでした。1、2着馬とは小回りへの対応力が違いました。広いコースの方がリズムよく行けます」と濱中俊騎手。

4着のストリーム(北海道)は上位勢では最も早い段階で仕掛けられ、2コーナーを回ってすぐに前との差を詰めにかかったが、3着馬にクビだけ差されてしまった。田中学騎手は「ずぶいとのことで、1コーナーから叩いて行きました。成長していきそうです」と今後に期待を寄せた。

イーグルノワールがここで重賞制覇を果たせたのは、陣営の素早い判断があったため。新馬戦4着は決して悪くない結果に思えるが、「上に上がるような走りで、ダート向きだと思った」と音無秀孝調教師。「早めにダートに転向しないと、このレースへはタイミング的にはギリギリですからね」と、5頭と限られたJRA出走枠に入るため、2勝を挙げて賞金加算できたことが初タイトルへと繋がったと言えるだろう。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

松山弘平騎手

返し馬から行きっぷりもよく、馬はやる気になっていました。ただ、今回は小回りでコーナー4つということで少し忙しいのではと思っていましたが、スタートも出て対応してくれました。力強い伸びで、最後にもう一度交わしてくれました。まだまだ良くなっていくと思うので、この先も楽しみです。

音無秀孝調教師

4コーナーでは2着馬の勢いがよくて負けたかなと思いましたが、最後は差し返して、前走同様に根性のあるところを見せてくれました。左回りの東京でも勝っていますし、おそらく川崎でも問題はないと思います。今週末に全日本2歳優駿の登録がもうあるので、状態を見ながら決めたいです。