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第44回浦和記念JpnII

代役の本田騎手が好騎乗
  血統馬が地方で素質開花

例年GI/JpnIに挟まれた日程のため、実績馬が手薄になりがちな一戦。そのぶん、普段は賞金的にダートグレードへの出走が難しい馬が参戦しやすく、新星誕生の舞台となることが多い。

今年の覇者ディクテオンは、これが2度目の重賞挑戦。1月の東海ステークスGIIは9着だったが、その後リステッド競走を制し、前走も0秒5差の4着と上々の走りを見せていた。今回は補欠からの繰り上がり出走で、さらに騎乗予定だったライアン・ムーア騎手が負傷により乗り替わりとなるなど、取り巻く環境はスムーズではなかったが、船橋の本田正重騎手とのコンビで千載一遇のチャンスをものにした。

1周目のスタンド前を最後方で通過したディクテオン。2コーナーに差しかかったあたりで徐々にピッチを上げると、向正面で一気に加速して先行集団へ。勢いそのままに、最終4コーナーで先頭に躍り出ると、しぶとく食い下がるミトノオーを振り切り、2馬身半差で重賞初制覇を飾った。

同馬の母はJBCレディスクラシックJpnIなど、ダートグレード6勝を誇るメーデイア。そんな血統馬が、地方の舞台で素質を開花させたのは納得がいく。代役騎乗を最高の形で務め上げた本田騎手が「前半に急がせないほうが、最後にいい脚を使うと聞いていました。向正面での上がり方がすばらしかったですね」とパートナーの走りを称えれば、管理する吉岡辰弥調教師は「乗り替わりとなりましたが、(本田騎手と)打ち合わせをする段階で、すでに勉強してくださっていて、特徴などをつかんでいただけていました」と、研究熱心な鞍上をねぎらった。

逃げた3歳馬ミトノオーが2着。2周目の向正面で各馬が迫ってきたことで急激なペースアップを余儀なくされたが、直線半ばまで粘りを見せた。松山弘平騎手は「ハナに立つ自分の競馬ができましたし、リズム良くスムーズに行けました。力をつけていますね」と成長を口にする。6馬身差で逃げ切った兵庫チャンピオンシップJpnIIを持ち出すまでもなく、軽快な先行力は小回り向き。今後も全国の中距離戦で活躍が見込めそうだ。

1番人気のテンカハルは後方から直線で脚を伸ばしたものの、3着までが精いっぱい。坂井瑠星騎手は「馬の感じは良かったのですが、勝負どころで動くことができませんでした。エンジンが掛かったときにはゴール前でしたね」と話した。脚質的に小回りコースがどうかと思われたが、その不安が的中した形。それでも2馬身差の3着に追い上げたのは実力の証明で、広いコースに替われば巻き返せる。

地方勢の最上位は浦和のヒーローコール。積極的に3番手の外を追走し、4着に食い下がる上々の走りを見せた。森泰斗騎手は「この馬の競馬をしてくれたし、力は出してくれました。3歳でよく頑張ってくれたと思います」と内容を評価する。これからの成長も見込める3歳馬だけに、今後も目が離せない存在だ。

取材・文大貫師男

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

本田正重騎手

跨ったときの第一印象は、とてもいい背中だなと感じました。JRAでのレースも見せていただきましたが、前半に急がせないほうが最後の脚を使える感じを受けましたし、調教師もそうおっしゃっていたので、自信を持って乗りました。地方のパワーの要る砂も合っているのかなと思います。

吉岡辰弥調教師

休み明けを使って、状態が上がってきたなかでレースを迎えることができました。前半は馬の気分に任せて、後半に勝負するというプランを立てていました。母のメーデイアも地方で結果を出していたので、地方の砂も合っていると思います。今後のローテはオーナーサイドと相談して決めたいと思います。