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第69回クイーン賞JpnIII

競り合う2頭を直線差し切る
  JBCの雪辱果たし重賞2勝目

2023年、最後の牝馬ダートグレードレース・クイーン賞JpnIIIが船橋競馬場で行われ、JRA4頭、地方7頭が集結した。1番人気は昨年の覇者テリオスベルで2.2倍、2番人気は今年の関東オークスJpnIIの優勝馬パライバトルマリンで2.8倍、3番人気はレパードステークスGIIIを牡馬相手に勝ったライオットガールで3.0倍と三つ巴の様相。地方からは岩手で重賞8勝をあげているゴールデンヒーラーや、このレース4年連続出走となるサルサレイアなどが顔を揃えた。

展開の鍵を握るテリオスベルは昨年と同じく大外枠を引き、どこでハナを取り切るかが注目となる中、ゲートが開いてまず先手を取ったのはパライバトルマリン。2番手の内にライオットガール、3番手にビジン、その後ろにノーブルシルエットらが続き、テリオスベルはいつものようにスタートは行き脚がつかず江田照男騎手が押しながら外から追い上げた。

向正面に入るとテリオスベルが一気に先頭に並んだが、パライバトルマリンの戸崎圭太騎手は前には行かせず、2頭が並走しながら後続との差を広げた。

直線に入ってもこの2頭の争いは続き、テリオスベルがわずかに前へ出たところで、外から良い脚で伸びてきたのがライオットガールだった。直線半ばで一気に交わすとそのまま突き抜けて2馬身半差をつけ、鞍上の岩田望来騎手は力強くガッツポーズを見せた。2着にテリオスベル、3/4馬身差の3着にパライバトルマリンが入った。

このレースはハンデ戦ということもありこれまで波乱も多かったが、昨年に続き今年も人気サイドでの決着。3連複は190円、3連単は1230円の払い戻しだった。

優勝したライオットガールはこれで重賞2勝目。3歳馬の勝利は2015年ディアマイダーリン以来となった。「前の2頭がやりあってくれた分、最後にもうひと伸びすることができました。強い内容だったと思います」と岩田騎手は自信たっぷりに語った。

2走前、古馬の一戦級と初対戦だったレディースプレリュードJpnIIでは見せ場十分の3着に好走し能力の高さをアピールしたライオットガール。前走のJBCレディスクラシックJpnIでは出遅れが響き6着と力を出し切れなかったが、すぐに巻き返し来年に繋がる結果を残した。まだまだ底が知れない3歳馬、これからどんな成長を遂げていくのか楽しみだ。

テリオスベルは昨年の再現とはならなかった。「追い通しですから大変ですね。がんばってくれています。道中の行きっぷりがだんだんなくなってきていますね」と江田騎手。

パライバトルマリンの戸崎騎手は「追い切りはしっかりできていたし馬の状態は良かったです。イメージ通りには進めました。だた、テリオスベルが来た時にオーバーペースにならないように努めたのですが、結果3~4コーナーでこちらの手応えの方が悪かったのでペースは難しかったです。これからもテリオスベルとの駆け引きになると思うので考えていきたいですね」と悔しそうに語った。

そして地方馬最先着は4着のサルサレイア。「よく頑張ってくれました。本当に相性が良いレースですね。まだまだ走ってくれると思います」と西啓太騎手は健闘を労った。

なお、ダート競走の体系整備により、クイーン賞JpnIIIの実施時期が2月上旬に変更され、2024年は2月7日。年明け最初の牝馬ダートグレードレースとなる。

取材・文秋田奈津子

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

岩田望来騎手

いつも通り雰囲気良く返し馬ができ、終えた後もすごく落ち着いていたので、この冷静な状態ならしっかり力を発揮してくれると思っていました。道中の手応えも終始良い中で直線を迎えることができました。まだ3歳ですし良い形で来年を迎えられることができますね。

中村直也調教師