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神奈川記念

100年の節目の記念競走
  人馬とも地方初参戦で勝利

12月14日に川崎競馬場で神奈川記念が行われた。全日本的なダート競走の体系整備により、1月に実施してきた川崎記念JpnIが4月に移動するため、今年度限りのJRAとの交流重賞だ。さらに、1923(大正12)年に神奈川県内8つの畜産組合による春秋2回の競馬会の開催から100年にあたることから『100th anniversary』という副題もつけられた。

川崎競馬場で1回限りの重賞と言えば、2002年1月に行われた新世紀盃を思い出す。的場文男騎手が手綱を取った地元川崎のハイテンションパルが勝利した。新潟デビューのハイテンションパルは、新潟皐月賞と新潟ダービーを制した二冠馬。南関東移籍後の初タイトルだった。

神奈川記念はJRA6頭、南関東5頭の11頭立て。JRA馬が上位人気となり、単勝1番人気はジャパンダートダービーJpnI・4着のユティタム。さらに、川崎記念JpnI・3着ニューモニュメント、3勝クラスを勝ち上がったキャリックアリード、昨年の兵庫ジュニアグランプリJpnIIの覇者オマツリオトコ、3勝クラスを勝ったヴィブラフォンが続いた。

この記念競走を制したのは、イギリスで活躍するH.ドイル騎手が手綱を取った4歳牝馬ヴィブラフォン。2番手追走から3コーナーで先頭に立つと、後続の追撃を振り切った。3/4馬身差の2着に中団から脚を伸ばしたキャリックアリード。さらに3/4馬身差の3着はユティタムだった。

芝デビューのヴィブラフォンは、4戦目にダートに転向して初勝利を挙げ、勝ち星を重ねてきた。前走でコンビを組んだドイル騎手で2戦2勝とし、人馬ともに地方初参戦での初タイトル獲得となった。

管理する高木登調教師は今後のローテーションについては未定とのこと。管理馬にはウシュバテソーロをはじめホワイトフーガやサウンドトゥルーなど、ダートグレード競走での活躍馬がいる。今後、ヴィブラフォンもこの路線に進んでいくことになるのだろうか。

ドイル騎手は日本で重賞初制覇を飾ったことで開口一番、「アリガトウゴザイマス!」と笑顔。「地方で初めて乗せていただいて勝てたことに感謝しています。うれしくて気持ちが一杯になっています」とコメントしていた。

100年前の競馬開催に立ち会った人たちが、仮に今の時代の競馬を見たとすれば、どんな感想を抱くのだろう。そんな思いも馳せながら、ヴィブラフォンの今後の活躍に期待したい。

取材・文高橋華代子

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

H.ドイル騎手

前走は福島で乗せていただいて、すごく素直でスピードもありました。いい馬だったので、今日もうまくいけばチャンスはあると思っていました。ゲートも良く、スタートもしっかり出てくれて、あとはスピードに乗って、そのままレースを運びました。(日本での騎乗もあと少しですが)まだまだ勝ちたいです。

高木登調教師

(今年1度きりの重賞ですが)貴重なレースを勝てて非常に良かったです。スタートに気をつけて、なるべく砂をかぶせないようにという感じで、ちょうどいいポジションにつけられました。馬もだいぶ落ち着いてきたと思います。距離はこのくらいがいいですね。まだまだダートで活躍してくれそうです。