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第23回名古屋グランプリJpnII

後半勝負に徹し重賞連勝
  岡部騎手は4度目の制覇

名古屋競馬場でのダートグレードとしては初めてナイターで行われた、今年の名古屋グランプリJpnII。これに先立ち10月には、条件級のJRA交流競走を当レースと同距離の2100メートル、そして同じ発走時刻で実施。他にも様々な角度からの確認や準備・調整を経て迎えたこの日は、土古から弥富に移転し2年目の新生・名古屋競馬場にとって、大きな節目となった。

日没とともにグッと冷え込み、気温は4度を割って真冬の寒さに包まれた。それでも熱心なファンの姿はレースが進むにつれ増えていき、名古屋グランプリJpnII発走の時にはスタンド前の石畳を埋め尽くして思い思いの人馬に声援を送っていた。

レースは、序盤から激戦となった。発馬を決めた3番人気のミトノオーに、内から浦和のマテリアルガールが絡み、更に「目標にしっかりつけていかないと良くない馬」(酒井学騎手)というメイショウフンジンが加わって3頭が先行。

離れた4番手に1番人気のグランブリッジがつけた。いつもなら早い段階から仕掛けられ前で戦っていくテリオスベルが、2周目に入るまで5番手にしか位置を上げられなかったことが、レースの流れの激しさを物語った。

2周目向正面でマテリアルガールが後退すると、入れ替わるようにテリオスベルが内から進出。3コーナーでミトノオーを交わして先頭に立ったものの、更に群を抜く勢いで追いついてきたのが、「前半は馬の気のままに走らせ、終い1000メートルの勝負」(吉岡辰弥調教師)という自身の競走スタイルに徹し後方に控えていた、2番人気のディクテオン。4コーナーで前を捉えるとそのまま押し切り、前走の浦和記念JpnIIに続きダートグレード連勝を果たした。

一旦先んじた勝ち馬を追いかけて食い下がったグランブリッジだったが、2馬身差の2着に終わった。川田将雅騎手の「オトコ馬相手に頑張った」との談話から察するに、精一杯の抵抗は見せたのだろう。更に6馬身差の3着がテリオスベル。江田照男騎手は、「ペースが速かったが、途中からでも自分の形にはできた」と馬の奮闘を称えた。

地方馬ではアナザートゥルース(北海道)が気を吐き、4着に食い込んだ。服部茂史騎手は「理想の位置も取れたし頑張っている。(アクシデントがあった)道営記念の影響もなく、いい調教を積んで臨めた」と、笑顔で振り返った。

一方、ミトノオーは9着。武豊騎手は「ペース云々より、今日は向正面で自らブレーキをかけた感じ」と、展開よりもコンスタントに力が出せぬ馬の気性面の方を敗因に掲げた。

ディクテオンに騎乗したのは、愛知所属の岡部誠騎手。2年前に同馬が当地に一時所属していた際に2度騎乗し勝利に導いた縁が、今回は更なる大きな成果に繋がった。これで当レースは、いずれもJRA所属馬で4度目の優勝。今回も馬の特徴を引き出した見事な騎乗振りで、“王者・岡部”の存在を改めて印象づけた。

今年も当地リーディングを独走する岡部騎手だが、この1年は自身の思うような結果が残せず、取材でも物憂げな表情を見せることが多かった。しかしこの日は、メインのひとつ前から終盤4連勝を含む5勝という固め勝ち。最終レースの後「こんな日もありますね」と目を細め頬を緩めた笑顔は、久しぶりに見せたとても印象的な表情だった。

取材・文坂田博昭

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

岡部誠騎手

1周目4コーナーではあまりに先行馬が小さく見えたので「大丈夫かな」と思いましたが、終わってみれば快勝でした。自分自身、今年1年良い成績を残せていませんでしたが、年末にこうしてタイトルを獲らせてもらい、ゴールの時にはホッとしたし、自分自身もっとステップアップしていかねばと思いました。

吉岡辰弥調教師

メンタルの成長に伴い競馬の内容が良くなったことで、身体も成長してきました。体重が増えていても太いわけではなく、筋肉量が増えて充実期に入っています。前走の内容で、交流戦の馬場が合うという手応えを得て、今回は自信を持って臨めました。晩成型だと思うし、来年1年はいい年になると思います。