斤量もアクシデントも克服
断然人気に応え女王が連覇
29日の東京大賞典GIは地方競馬1レースの売上レコードを更新するなど大盛況。その勢いそのままに、30日も1万人以上のファンが大井競馬場を訪れ、東京シンデレラマイルの売上もレコードを更新した。
今年はフルゲート16頭が揃った。注目は女王スピーディキックの参戦だ。2023年はフェブラリーステークスGIへの挑戦から始まり、ここまで中央馬を相手に善戦してきた。しかし、スパーキングレディーカップJpnIIIの2着が最高で勝利には届かずにいた。「当初はここを使う予定はなかったのですが、今年1つ勝たせてあげたいという思いで出走しました」と藤原智行調教師。南関東の牝馬同士では実績は断然で単勝1.2倍と圧倒的な支持を集めた。
ラビュリントスが逃げ、トライアルの勝ち馬ツーシャドーが好位、今年の浦和・桜花賞馬メイドイットマムが中団の前を追走し、スピーディキックはその後ろで前を窺っていた。ところが、3コーナーで外に出し手応え良く4コーナーを回ろうとしたところで、内から外に斜行した馬の影響を受け外に大きく振られてしまった。それでも直線ではさすがの切れ味を見せあっという間に先頭に立つと、そのまま押し切り1年ぶりに勝利を手にした。
2着は後方からレースを進め直線で猛追しクビ差まで迫ったラブラブパイロ。最後方を追走していたサルサレイアが直線で良い脚を使い2馬身差の3着に入った。2番人気のメイドイットマムは6着に敗れた。
アクシデントにも怯まず貫録の走りで2連覇を飾ったスピーディキック。「精神的にも成長を感じますし、今年は強い馬と戦ってきてタイトルを獲らせてあげられなかったので、最後に勝ててほっとしています」と御神本訓史騎手は胸をなでおろした。「4コーナーで振られたときにおそらく自分の脚が当たって出血をしていました。ただ普通の馬だったらあの段階で心が折れるはず。精神面の強い馬です」と藤原調教師はケガの様子について心配しながらも、この馬の強さを改めて感じているようだった。
気になる今後だが、フェブラリーステークスGIへの出走については騎手やオーナーと相談しながら慎重に考えるようだ。ただ来年は1600メートルを中心にローテーションを組んでいくとのこと。「1600メートルだったら牡馬相手でも負けないと思います。(フェブラリーステークスGIで)レモンポップに1秒差だったし、(かしわ記念JpnIで)イグナイターには先着している。(今年は)地方馬には負けていないですからね。来年は南部杯に行ってもいいのかなとも思っています」と藤原調教師は2024年に向けて語った。女王スピーディキックはこの後、どんな走りを見せてくれるのか、レース選択も併せて注目していきたい。
悔しそうだったのはラブラブパイロの西啓太騎手だ。検量室の中でレース映像をしばらくチェックした後、「決して適条件ではないコースで力のあるところは見せてくれました。直線は前も止まっているように見えたのでこれならなんとかなるかもと思ったのですが。不利がなければもしかしたら……」と唇を噛んだ。
12番人気の7歳馬サルサレイアは大健闘だった。「ハイペースだったので展開に合わせて良い脚を使ってくれました。がんばりましたね!」と森泰斗騎手は労った。
取材・文秋田奈津子
写真岡田友貴(いちかんぽ)
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藤原智行調教師
57キロでどこまで戦えるのかと思っていましたが無事に2連覇できて本当に良かったです。飼葉食いも良く追いきりの後も馬体重が落ちずにこれました。今季の中で一番の状態でしたので自信を持って臨めました。レースは良い感じに進んでいましたが、4コーナーとゴール前はドキッとしましたね。







御神本訓史騎手
57キロだったので心配していましたが、しっかり仕上がっていたので抜群の切れ味でした。頭数が多い分、進路を選びながらの騎乗で4コーナーでは不利を受けましたがしっかりとした末脚を出してくれました。この仔は将来繁殖という仕事もありますので、来年は内容の濃いレースをしていきたいです。