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第50回ブルーバードカップJpnIII

ゴール前3頭の追い比べ制す
  牝馬がダート三冠へ名乗り

ダート競馬の体系整備により、かつてはアラブの3歳重賞として、近年は3歳準重賞として行われていた一戦がダートグレードに格付けされ、距離も1800メートルに延長された。ここから大井の雲取賞JpnIII、京浜盃JpnIIを経て、三冠に向かうローテーション。春を目指す3歳馬の戦いが幕を開けた。

JRAからは、もちの木賞を制した牝馬アンモシエラ、ダート1800メートルでは崩れていないバロンドール、芝ダートを問わず短距離で好走を続けるエコロガイアの3頭が出走。さらに北海道勢2頭、佐賀から1頭の遠征馬を、地元の船橋勢3頭が迎え撃つ形になった。9頭立てではあるが、この時期の3歳ダートJpnIIIという目新しい設定が興味を駆り立てた。

エコロガイアが先手を奪い、北海道のカプセル、船橋のバハマフレイバーが2、3番手。その後列にアンモシエラとバロンドールがつけた。前半の3ハロンは35秒6と速かったが、それでも3コーナー過ぎでアンモシエラが内から、バロンドールが外から手応え良く進出を開始。佐賀のウルトラノホシもつれて上がっていった。

逃げたエコロガイアもしぶとく、直線で並びかけてきたバロンドールを抜かせない。手に汗を握る叩き合いが続くところへ、外からアンモシエラも伸びてきた。3頭が横並びとなったゴール板の手前、わずかにクビだけ抜け出したのはアンモシエラだった。12キロの馬体減をものともせず牡馬を一蹴し、交流初年度の記念すべき一戦に勝ち馬として名を刻んだ。

アンモシエラの鞍上、坂井瑠星騎手は「すごく寒いなかでしたが、熱いレースをしてくれましたね」とパートナーをねぎらった。最内枠から徐々に外に持ち出し、勝負どころで内をついて位置取りを上げると、直線で外へ切り返して末脚を繰り出した。こうした器用な立ち回りに加え、ゴール手前で見せた鋭い脚は三冠の舞台でも威力を発揮するはず。今後が楽しみになる内容だった。

エコロガイアが逃げ粘って2着。ハイペースで馬群を引っ張りながら、ゴール前でもしぶとさを発揮した。笹川翼騎手は「いいレースができましたね。小回りの1600メートルがぴったりですが、距離はこなせないこともないかなと思います」とコメント。今回の内容を見れば2000メートルも悪くなさそうだが、どちらかと言えば1400メートルの兵庫チャンピオンシップJpnIIが適鞍か。いずれにしても距離選択の幅が広がったことは確かで、今後の動向に注目が集まる。

一方、バロンドールは叩き合いに敗れてハナ差3着。横山典弘騎手は「4コーナーで後ろから乗っかけられていました。いつもの伸びがなくて、『あれっ』て思ったんですよ。けがが心配です」。4コーナーで、バロンドールの後肢にウルトラノホシの前肢が接触しており、その影響が少なからずあったと見られる。脚を含めた馬体そのものの無事を祈るが、今後も戦列にとどまることができれば巻き返しが可能だ。

4着にはウルトラノホシが食い込んだ。全日本2歳優駿JpnIに続く長距離遠征だったが、地方勢の最先着を果たして存在感を示した。「4コーナーでつまずいたのが痛かったです。力をつけているし、距離は延びても大丈夫でしょう」と石川倭騎手。勝ち馬と0秒2差だけに、スムーズだったらと思わせる結果。今後の成長次第で、ダートグレード制覇の期待も十分にある。

取材・文大貫師男

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

坂井瑠星騎手

熱いレースをしてくれました。ポジションは決めず、この馬のリズムで運びました。反応はそれほど速くなかったですが、前の2頭が止まってくれたし、この馬自身も最後までよく頑張ってくれました。牡馬を相手に勝つのは難しいことですからね。今後もまた頑張ってくれると思います。

額田洋介調教助手

2頭出しのもう1頭(バロンドール)が3着なので複雑ですが、この馬も人気になっていたので勝てて良かったです。内が深い感じだったので外に出したいと思っていましたし、最後はうまく差してくれたなと思います。操縦性の良さがこの馬の持ち味。次走は未定ですが、ダート三冠の意識は高いですね。