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第70回クイーン賞JpnIII

早め進出から直線差し切り完勝
  菱田騎手とコンビ復活で重賞制覇

2月7日の船橋競馬場では70回目となるクイーン賞JpnIIIが行われた。

2004年以降は11月下旬から12月中旬に行われてきたが、ダート競走の体系整備により2月の実施となった。この後の牝馬路線は、兵庫女王盃JpnIII(4月4日、園田1870メートル)、エンプレス杯JpnII(5月8日、川崎2100メートル)と続いていく。大一番のJBCレディスクラシックJpnI(11月4日、佐賀1860メートル)までの戦いが楽しみだ。

1番人気は昨年12月に行われた前回のクイーン賞JpnIIIを制したライオットガール。次いで、昨年のレディスプレリュードJpnII覇者アーテルアストレア、22年のクイーン賞JpnIII優勝馬テリオスベル、前走の神奈川記念2着で地方移籍初戦のキャリックアリード(大井)に人気が集まった。

好メンバーの中、菱田裕二騎手が騎乗した2番人気アーテルアストレアが差し切り、2つ目のタイトルを獲得した。

前走のトライアルで先行して押し切ったグレースルビー(大井)がハナを切ると、2コーナー手前でテリオスベルが一気にかわして先頭へ。6番手あたりを追走したアーテルアストレアも徐々に進出した。「周りの馬を気にするのではなく、この馬のいつものレースをしようと思いました。馬場状態も軽くて、道中はあまり離れたくないと思ってついていきました」(菱田騎手)

アーテルアストレアは3コーナー過ぎで2番手に押し上げ、テリオスベルを射程圏に入れた。最後の直線ではテリオスベルが粘り込みを図ったが、アーテルアストレアがジワジワと迫り、ゴール前で捕えると1馬身半差をつけて勝利。5馬身差の3着には5番手からしぶとく脚を伸ばしたキャリックアリードが入った。

菱田騎手は「相手(テリオスベル)も強い馬なので簡単にかわせないと思いましたが、アーテルが最後まで頑張って、しっかりかわし切ってくれました」とパートナーをねぎらった。

2歳時からこの馬の手綱を多く任されてきた菱田騎手は、怪我で療養していたため4戦ぶりのコンビ。レディスプレリュードJpnIIを勝った際には武豊騎手が鞍上だったため、菱田騎手で重賞を制したのは初めてとなった。

「重賞を一緒に勝つことができて、ただただ嬉しいです。大事な時に怪我をしてしまい、休んでいる間はすごく複雑な思いでレースを見ていました。復帰してからも、またこうやって乗せていただいて、アーテルにも関係者にも感謝の気持ちでいっぱいです。僕自身ももっともっと技術を上げていきたいです」と、ひとつひとつの丁寧な言葉から、喜びが伝わってきた。

橋口慎介調教師も「菱田君と勝てたことが嬉しいですね」と笑顔。ローテーションについては、馬の状態を見てから考えていくそうだが、兵庫女王盃JpnIIIやエンプレス杯JpnIIなどは選択肢にあるようだ。アーテルアストレアと菱田騎手、今後も注目していきたいコンビだ。

取材・文高橋華代子

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

菱田裕二騎手

2週続けて調教に乗せていただいて、最初は少し間隔が空いている感じかなと思いましたが、次の週は動きが良くなっていました。そこからまた1週間は担当の方にうまく調整をしていただいたので、競馬場で乗ると、いつも通りいい状態のアーテルだったので、自信を持って乗りました。

橋口慎介調教師

道中もリズムよく走れていたと思います。3コーナーで上がっていく時の脚が良かったですし、最後もいつも通りの脚をしっかり使ってくれました。この馬の一番のセールスポイントは末脚の良さ。そして、レースでも調教で鍛えても、牝馬とはいえ全くへこたれないタフなところ。本当に頼もしい馬です。