web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第6回雲取賞JpnIII

得意の逃げで後続を完封
  ダート三冠の堂々主役へ

ダート競馬の体系整備により、今年からJpnIIIに格付けされた一戦。準重賞時代から多くの実力馬がこのレースを駆け抜けてきたが、特に重賞格上げ後の優勝馬がその後もタイトルを獲得しているように、南関東の3歳路線を見据えるうえで非常に重要な意味合いを持っている。開催時期と距離を考えれば、今後もその位置づけが変わることはないだろう。

JRAからは兵庫ジュニアグランプリJpnIIを制し、全日本2歳優駿JpnIでも2着に好走したイーグルノワール、デビューから3戦オール3着以内のアマンテビアンコ、前走で1勝クラスを勝ち勢いに乗るブルーサンの3頭が参戦。

地方からはNARグランプリ2歳最優秀牡馬を受賞したサントノーレのほか、多くの重賞ウイナーが駒を進めてきた。一戦ごとの成長が著しいこの時期の3歳馬だけに、一筋縄ではいかないような結末が予想された。

フルゲートの16頭立て。好スタートを決めたブルーサンがダッシュよく先手を奪うと、2コーナーでは2馬身ほどの差をつけて逃げる。イーグルノワールが2番手につけ、その外にサントノーレ、東京2歳優駿牝馬を制した紅一点ローリエフレイバーなどが先行集団を形成。スタートでつまずいたアマンテビアンコもこの位置まで盛り返してきた。縦長の隊列となったが、前半の3ハロンは37秒5と平均的なペースで進んだ。

3コーナー過ぎでブルーサン、イーグルノワール、サントノーレが後続を引き離しにかかったが、なかでもブルーサンの手応えが良く、直線の入口で1馬身ほどリード。2頭も懸命に追ったが、ブルーサンはさらに脚を伸ばしてこれを突き放し、内を伸びたアマンテビアンコも抑えてフィニッシュ。2馬身差で3歳ダートの主役に名乗り出た。羽田盃JpnIの優先出走権は、JRA勢はブルーサンと2着のアマンテビアンコ、地方勢は3着サントノーレと5着フロインフォッサルが獲得した。

ブルーサンはこれでダート6戦3勝で、逃げた5戦は全て連対。タフな馬場での消耗戦に持ち込んだことで、この馬のしぶとさが生きた印象だ。和田竜二騎手も「羽田盃と同じコースで走れたというのは強みになると思います」と三冠に向けて手ごたえをつかんだ様子だった。物見をするタイプだけにコースを経験したことも大きく、勝ちタイム1分55秒2も今の力の要る馬場を考えれば上々。管理する川村禎彦調教師はスナークレイアースでの2004年マーキュリーカップGIII以来、20年ぶりの地方でのダートグレード制覇となり、「次走は羽田盃。今後が楽しみです」と期待を口にした。

2着に追い上げたアマンテビアンコはスタートでつまずいたのが響いた。クリストフ・ルメール騎手は「手応え良く進めたけど、3コーナーで離された。でも初めての地方の馬場で、よく頑張ってくれた」と、スタートを悔やみながらも一定の評価を与えた。母はダートグレード3勝を挙げたユキチャンで、パワー優先の馬場もこなせる血統背景。実力を兼ね備えた白毛馬として、三冠初年度に彩りを添える。

サントノーレが地方勢最上位の3着。大井への転入初戦で仕上がり途上だったが、最後までしぶとく脚を伸ばした。デビュー戦から全ての手綱を取ってきた服部茂史騎手は「好位を取りに行くのに脚を使ったけど、最後まで踏ん張ってくれた。成長を感じる」と目を細めた。例年、三冠へうまく照準を合わせてくる荒山勝徳厩舎だけに、ここから上昇カーブを描いてくるはず。今後も目が離せない存在だ。

1番人気のイーグルノワールは最後の踏ん張りがきかず4着に敗れた。「勝ち馬を見ながら行けたけど、向正面で手応えが怪しくなった」と松山弘平騎手。実績からすれば世代上位の存在だが、今回は羽田盃JpnIの優先出走権を獲得できなかった。羽田盃JpnIと東京ダービーJpnIはJRAの出走枠が4頭と少ないため、これらに出走するためには是が非でも優先出走権がほしいところ。これからが正念場となる。

取材・文大貫師男

写真岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

和田竜二騎手

前走が強い競馬でしたしデキも上がっていたので、大井1800メートルでもチャンスがあると思っていました。物見する面があって、さらに少しそわそわしていたので、そのあたりに気をつけていました。道中は速いように見えてこの馬のペースで行けているので、そのあたりが強い要因だと思います。

川村禎彦調教師

最終追い切りでもジョッキーが好感触を伝えてくれていましたし、状態はこれまでで一番良かったと思います。それだけに自信を持って臨んでいたので、勝ててホッとしました。思った通りの競馬もできましたね。次走は羽田盃を予定しています。先々が本当に楽しみになりました。