主役不在の混戦で波乱の決着
地方最先着はミックファイア
フェブラリーステークスGIに地方競馬を代表するトップホース3頭が参戦した。2年連続NARグランプリ年度代表馬に輝いた兵庫のイグナイター。昨年は6着に健闘した地方競馬の女王、浦和のスピーディキック。22年ぶりに南関東三冠を達成した大井のミックファイアだ。
今年は、東京大賞典GI・2連覇のウシュバテソーロと、昨年の覇者レモンポップという、現ダート界の2強が海外遠征のため不在。さらに前哨戦の東海ステークスGII、根岸ステークスGIIIの優勝馬も不在で混戦模様と評された。
その中で地方馬たちは実績面でも引けを取らず、戦前から大きな注目を集め『1999年メイセイオペラ以来の地方馬優勝へ』といった見出しも多く見られた。
中距離路線と短距離路線の実績馬たちが相見えるのがこの舞台。2023年東京盃JpnIIの勝ち馬ドンフランキーが最初の3ハロン33秒9のハイペースで逃げ、最内枠だったイグナイターは2番手集団の内でレースを進めた。
「スムーズな競馬を心がけました」(御神本訓史騎手)というスピーディキック、「(スタートの)芝は気にしていませんでしたが、滑るような感じだったようでダッシュが効かずあの位置になりました」(矢野貴之騎手)というミックファイアは中団を追走した。
そして直線、最内から先頭に立とうかというイグナイターの姿に夢を見たファンも多かったことだろう。ただ先行勢は、さすがにこのペースで府中の長い直線を耐え抜くのは厳しく、イグナイターも脚が止まってしまい11着に敗れた。
一方、直線で内に進路を選んだミックファイアはじわじわと伸び7着。外から追い込みをはかったスピーディキックは伸びきれずに13着だった。
見事優勝を飾ったのは、これが重賞初制覇となった11番人気の伏兵ペプチドナイルだ。好位から直線では早め先頭に立ってそのまま押し切り大金星。藤岡佑介騎手は「6歳ですがまだまだ良くなっています。秋には今日戦っていない強い馬たちにチャレンジしたいです」とコメント。ダート界にまた楽しみな新星が現れた。2着は初ダートだった5番人気のガイアフォース、3着には13番人気のセキフウが入り、3連単で150万円を超える大波乱となった。
地方馬最先着だったミックファイアの矢野騎手は「久々の1600メートル戦で忙しいとは感じましたがよく対応してくれました。直線もしぶとく伸びてくれて素晴らしい内容でしたね。インでレースができたことで競馬の幅は広がったと思います」と充実した表情。渡邉和雄調教師は「残念ではありましたが、この馬が内を突いて伸びるという競馬は見たことがなかったので次に希望が持てる内容でした。また挑戦したいです」と語った。
今回イグナイターに騎乗したのはJRAの西村淳也騎手。「考えていた通りの良いポジションがとれました。懸念していた距離が最後に影響したかなと思いましたが、イグナイター自身、もっとステップアップしてくれると思います」。新子雅司調教師は「直線、めちゃくちゃ長い!園田だったら勝ってましたね(笑)」と冗談も言いながら、「あのペースについていったので止まるのは仕方ない。夢のあるレースをしてくれましたし、ここでもやれるんだという手応えも感じました」と前向きだった。
スピーディキックの御神本騎手は「道中、出していったので終いも甘くなり正攻法では厳しいなと感じました」と残念そうだったが、藤原智行調教師は「(6着だった)去年は脚を余してしまいましたが、今年は勝ちにいった競馬だったので内容に悔いはありません」と納得の様子。そして「勝つためには挑戦することだと思います。僕も益田から来て初めの頃は重賞に出走してもずっと無印でした。でもその挑戦を繰り返して今がありますから」と力強く語った。
藤原調教師の言葉通り、この後はそれぞれ次のチャレンジに向かって進んでいく。イグナイターは3月30日のドバイゴールデンシャヒーンGIに向かう予定で、いよいよ海外挑戦だ。スピーディキックは1600メートルのダートグレードを中心にローテーションを組むそうで、春はかしわ記念JpnIを視野に。ミックファイアは川崎記念JpnIやかしわ記念JpnIが選択肢となり、今年後半はチャンピオンズカップGIに挑戦したいとのことだ。
この経験を糧に、地方競馬から更なる高みを目指していく。
取材・文 秋田奈津子
写真 早川範雄、岡田友貴(いちかんぽ)















