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第1回レジーナディンヴェルノ賞

重賞初挑戦で歓喜のゴール
  地元高知勢が掲示板独占

イタリア語で『冬の女王』を意味するというレジーナディンヴェルノ賞。高知競馬では近年、レディスシリーズとして牝馬限定の準重賞が年に4レース行われていたが、牝馬限定重賞の新設は、2000年まで行われていた黒潮乙女賞以来24年ぶり。今年から春秋に分けて実施されることになったグランダム・ジャパン(GDJ)古馬春シーズンの対象レースとなった。

ジャパンカップGIに出走して注目された兵庫のクリノメガミエースが単勝2.0倍で1番人気。南関東の重賞で好走がある船橋のフークエンジェルが2番人気で、実績上位の遠征勢優位に思われた。しかし勝ったのは、重賞初挑戦ながら3番人気に支持された地元のミニョンだった。

1番枠からアンティキティラが出ムチを入れて先頭に立ち、外からダッシュを効かせてサノハニーが2番手。内の3番手にミニョンで、プリーチトヤーン、カナデルスターらも差なく続いて地元勢が前を固めた。注目の遠征勢は中団よりうしろからの追走となった。

勝負どころの3コーナーでもアンティキティラが手応え十分のまま気持ちよさそうに逃げていたのとは対照的に、遠征勢は向正面からすでに追走に一杯。直線を向いてもアンティキティラが先頭だったが、じわじわと差を詰めてきたミニョンが残り100メートルほどでとらえると3馬身差をつけての完勝。ゴールの瞬間、山崎雅由騎手の左手が大きく上がった。

2着にはアンティキティラが粘り込んだ。近走地元で差のある敗戦が続いていたため人気を落としていたが(7番人気)、昨年は読売レディス杯(金沢)、秋桜賞(名古屋)でともに2着に入るなど遠征での好走でGDJ古馬シーズンで3位となったように、このシリーズでの健闘が目立つ。

クビ差3着にサノハニーが入り、ところどころに水の浮く不良馬場もあってか先行した地元5頭が掲示板を独占。遠征勢では兵庫のアイヤナが最先着の6着。クリノメガミエースは7着。8着フークエンジェルの篠谷葵騎手は「完全に馬場ですね。進みが全然違いました」という言葉に象徴されるように、遠征勢は高知の特殊な馬場に力をまったく発揮できなかったようだ。

勝ったミニョンは、昨年4月に馬主が変わって大井から転入。当初は最下級C3で大敗が続いたが、転入5戦目から3連勝。その後は3着以内を外さない成績で順調にクラスを上げ、今回が重賞初挑戦。1900メートルの距離も高知では初めてだった。

「調教が合わないのかと思って、調教を息子(田中陵太厩務員)に替えたら3連勝して、馬が一変しました。湿って軽くなった今日の馬場もよかったと思います」と田中譲二調教師。次の目標は、GDJを狙って佐賀ヴィーナスカップ(4月21日)に遠征予定とのこと。

鞍上の山崎騎手は、2022年1月の大高坂賞(モズヘラクレス)以来約2年ぶりの重賞制覇。表彰式のインタビューでは「最近は勝てる馬に乗せていただきながら勝つことができず悩んでいたところ、こうして重賞を勝たせてもらえてほんとうに感謝しています」と声を詰まらせる場面も。南国高知らしからぬ寒空の下、地元ファンの暖かな声援に包まれた。

取材・文斎藤修

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

山崎雅由騎手

理想の位置はとれたので、あとはこういう馬場(不良)なので、アンティキティラを見ながら、うしろの馬にも気を付けながら、3コーナーでアンティキティラが動いたときに勝負に行きました。道中はいつでも動ける手応えで、そこで自分も落ち着いて乗ることができたので、勝ちにつながったと思います。

田中譲二調教師

(3番手の内は)絶好のポジションでした。僕が馬主にオークションで買うように薦めた馬なので、うれしかったですね。前走から2開催休ませて、ここを目標に仕上げてきました。1600メートルを逃げて勝ったこともあり、折り合いもつくので、距離はオールマイティにこなせると思っていました。