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第69回ダイオライト記念JpnII

人気に応え直線突き放す
  精神的に成長し素質開花

ダイオライト記念JpnIIは長丁場2400メートルのダートグレード。JRA4頭、北海道から1頭、愛知から2頭、南関東から4頭の計11頭が出走した。

好スタートを決めたエルデュクラージュが先手を取り、ハギノアレグリアスが続くなか、いつ動こうかと好位後ろで虎視眈々と構えるテリオスベル。1番人気のセラフィックコールは好位の内につけていた。さて、テリオスベルがどこで動くのか。今回もレースの鍵を握っていた。

最初の3コーナーでテリオスベルが動き出した。じわじわと上がっていくとスタンド前ではエルデュクラージュを交わして先頭に立った。前を捕らえるまでのラップはさすがに速かったものの、先頭に立ってからは平均ペースで軽快に飛ばしていた。

さらにレースが動いたのが2周目の3コーナー。セラフィックコールが外に出すと猛烈な勢いで前を捕らえにかかる。まずはハギノアレグリアスを交わし、直線半ばでテリオスベルに並びかけるとあっという間に4馬身突き放してゴールを駆け抜けた。

「この馬らしい競馬はできたと思う」と2着に粘ったテリオスベルの江田照男騎手は話し、「距離は少し長いように感じたけど、最後まで踏ん張っていたしやりたい競馬はできた」と3馬身差で3着ハギノアレグリアスの岩田望来騎手がコメントしていたようにそれぞれ納得の結果。その先頭にいたのがセラフィックコールだ。

鞍上はカザフスタン出身のバウルジャン・ムルザバエフ騎手。2020年から3年連続ドイツリーディングに輝いており、今回が3度目のJRA短期免許取得(4月14日まで騎乗予定)。セラフィックコールには新馬戦勝ち以来の騎乗で、「新馬戦の時に、この馬は重賞級だと言ったと思いますが、今日それを証明することができました。先週、追い切りに乗った際には気性面の成長を感じていたのですが、今日は(初めての)ナイターで、レース前は物見をしたり、幼い部分を見せていましたが、競馬ではそんな面を見せず、しっかり走ってくれました。そういうところが成長したんだと感じます」と、さらなる飛躍を期待させるコメントをしていた。

ムルザバエフ騎手は2月29日にかきつばた記念JpnIIIでペリエールに騎乗(5着)し、地方のダートを経験したばかり。ダイオライト記念JpnIIでセラフィックコールに騎乗するにあたっては、今開催の船橋競馬のレース映像をすべて見るなど、研究し尽くして騎乗に向かったと言う。

セラフィックコールはデビューから無傷の5連勝で、前走はチャンピオンズカップGIに挑んだ。2番人気に支持されたが長く切れる末脚を発揮できず10着に敗れていた。

「今回は初めてチークピーシズをつけた効果がありました。集中して走っていましたね。能力は高くても精神的な難しさがありますが、今日はスタートも良く出ていましたし、キックバックも気にせず、ナイターでもいい競馬ができました」と寺島良調教師。今後は短期放牧に出したあと、帝王賞JpnIを目標にするとダートグレード戦線に名乗りを上げた。

7戦6勝とキャリアの浅い4歳馬の活躍が楽しみでならない。

取材・文中川明美

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

B.ムルザバエフ騎手

ナイター競馬で物見もしたり幼い面も見せていたが、レースでは集中していました。距離が長くても問題なくしっかり走っていたし、新馬戦に乗ったときからこの馬は重賞級だと言ったことを証明することができてよかったです。先週、追い切りに乗ったときから気性面の成長は感じていました。

寺島良調教師

ジョッキーが上手く乗ってくれました。チークピーシズをつけた効果もありましたね。元々、能力は高いと思っていましたが、精神的なところで難しさを出していました。去年の秋ぐらいからその辺りがすごく良くなってきました。今日はスタートも良く、ナイター競馬でもしっかり走ってくれました。