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第47回京浜盃JpnII

直線突き放し中央勢を一蹴
  新たな三冠の主役に名乗り

2024年のトゥインクルレースが開幕した大井競馬場。この日は大気の状態が不安定で雷雨の時間帯もあり、夕方頃からは強風が吹き荒れた。そんな荒天にも関わらず場内は大勢のファンがナイター競馬を楽しんでいた。

ダート競馬の体系整備により、羽田盃JpnIの前哨戦、京浜盃JpnIIもダートグレードに格上げされた。地方馬は上位2頭、JRA馬は5着以内の上位2頭に優先出走権が与えられる。

9頭立てと少頭数にはなったが、実績のある好メンバーが集結。その中でもヒヤシンスステークスで3着に好走したハビレが単勝1.9倍と1番人気に支持された。2番人気はブルーバードカップJpnIIIの覇者、牝馬のアンモシエラで3.0倍。3番人気は雲取賞JpnIII・3着のサントノーレで6.7倍と続いた。

ここまでの3歳ダートグレードは、ブルーバードカップJpnIII、雲取賞JpnIIIのいずれもJRA勢が制し、層の厚さを感じさせる結果。しかし、地方馬の反撃開始と言わんばかりに、この重要な一戦を制したのは大井のサントノーレだった。しかも7馬身差の圧勝劇でクラッシックの主役に名乗りをあげた。

先手を取ったのはマッシャーブルムで、2番手にティントレット。サントノーレは「馬の気が入ってしまい前の馬を追いかけるような形になりましたが、なんとかリズムを崩さず我慢できたのが良かった」(服部茂史騎手)と3番手のインを追走。それに並ぶようにアンモシエラがつけ、1コーナーで不利を受け大きく膨れてしまったハビレは5番手まで盛り返してきた。

4コーナーでティントレットが先頭に立ったが、直線に入るとその外から手応え良く交わしたのがサントノーレ。ぐんぐん後続を突き放し、ゴール前で服部騎手の右手が上がった。2着はアンモシエラ、3/4馬身差の3着にハビレが入った。

待望のダートグレード勝利に「やっと中央勢に勝ちました!」と服部騎手。「ずっと共に戦ってきたので最後まで一緒にがんばろうという気持ちで騎乗していました」と笑顔が溢れた。

ここまで全日本2歳優駿JpnI、雲取賞JpnIIIとも3着とあと一歩のレースが続いていたサントノーレ。すでに羽田盃JpnIの優先出走権は持っているが「転入2戦目で前走より状態も良くなっていたし、これだけの馬なので大きなタイトルを獲らせてあげたかった」と荒山勝徳調教師は思いを語った。レース後、北海道時代の所属厩舎である田中淳司調教師と力強く握手を交わしていた姿も印象的だった。「ここまで差をつけるのは最近の交流重賞では珍しいです。今日の勝ち方を見ると次もやれそうだなと思っちゃいますね」と荒山調教師ならではの口ぶりに、この馬の可能性が感じとれた。まだまだ伸びしろもあるとのことで、大きな期待を背負って一冠目・羽田盃JpnIに挑む。なお、同厩舎のティントレットも5着に入り優先出走権(地方馬上位2頭)を獲得。ともに羽田盃JpnIに向かう予定だ。

2着アンモシエラの坂井瑠星騎手は「1コーナーで後ろから押される感じになりましたが、その後は外でスムーズに競馬ができました。今日は勝ち馬が強かったですね」とコメント。

3着に敗れたハビレのバウルジャン・ムルザバエフ騎手は「1コーナーで押されて外に膨らんでしまい立て直すために脚を使ってしまった。この不利が全てでした」と振り返った。

取材・文秋田奈津子

写真岡田友貴

Comment

服部茂史騎手

前走より調子がよくなっていました。ただ返し馬で少し力んでいたので、レース中は気を付けようと考えていました。気分よく3~4コーナーを回れていつでも抜け出せる手応えでしたね。操縦性の高さがこの馬の良いところです。今日勝てたことは自信になりましたし、地方代表として次走も頑張ります。

荒山勝徳調教師

こういう馬に携われて光栄に思いますし、今日は結果を出さなくてはいけないという気持ちでレースに挑みました。転入初戦は手探りでしたが、一度使って状態も分かって今回は良い仕上げができたと思います。あそこまで圧勝するとは思っていなかったけれど力のあるところを見せてくれましたね。