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第70回桜花賞

好位の内から末脚弾ける
  岡田調教師は引退の花道

3月27日に浦和競馬場で行われた南関東牝馬一冠目の桜花賞。グランダム・ジャパン3歳シーズンになってからは地方交流として実施されているが、3年連続で他地区からの遠征はなく、南関東所属馬12頭によって争われた。

ローレル賞を勝ち東京2歳優駿牝馬は2着だったミスカッレーラ、ユングフラウ賞のミチノアンジュ、金沢シンデレラカップのシトラルテミニ、佐賀・フォーマルハウト賞のファーマティアーズと、4頭の重賞勝ち馬が参戦。

その実績馬たちを抑えて重賞初Vを飾ったのは、3番人気のプリンセスアリーだった。

9番手から進めた前走のユングフラウ賞は、37秒5とメンバー最速の上がりを使ったが4着止まり。桜花賞はそれまでのような積極的な競馬を試みたという。

逃げたのはミチノアンジュ。すかさず、ミモレフレイバー、モノノフブラックが並びかけた。その3頭を見る形で、プリンセスアリーが追走し、パペッティアとミスカッレーラも続いた。

プリンセスアリーに初騎乗だった森泰斗騎手は「内枠(4枠4番)を生かし切った、いい競馬ができたと思います。逃げている馬を目標にしつつ、後ろのミスカッレーラも警戒しつつ、勝つ時はうまくいくものですね」と振り返る。道中は内でジッと我慢すると、最後の直線はミチノアンジュとパペッティアの間から力強く抜け出した。1馬身差の2着がパペッティア、3/4馬身差の3着がミチノアンジュだった。勝ちタイムは1分36秒9(稍重)。

森騎手は「わりと小柄ですが、乗ると芯がある馬。まだ体も成長しそうですし、楽しみが広がると思います」と期待を込めた。

なお、このレースにプリンセスアリーとアニモの2頭を送り出した岡田一男調教師(浦和)は3月31日付で引退。最後の重賞を勝利で飾るドラマチックな結末に、関係者エリアも盛り上がりを見せていた。岡田調教師は「信じられない!」と目を丸くし、多くの人たちから祝福を受けていた。

岡田調教師は1964年6月に騎手免許を取得し、80年1月に調教師として初出走。2021年のユングフラウ賞をウワサノシブコと制したことも記憶に新しい。

「初めて重賞を勝たせていただいたのは、アラブダービー(1991年・大井)のジコウフジ。10番人気で勝てたからびっくりしました。あっという間の60年でしたが、馬に未練はありません。やり切ったので晴れ晴れしています」

3月21日に76歳になった岡田調教師。今後は地元の群馬県高崎市に帰り、数年前からの夢だった日本一周旅行を実現させたいそうだ。そこに向け、普段からキャンピングカーに乗り、体作りもしてきたという。「毎日、スクワット&腹筋50回ずつ、腕立ても20回しているから、腹の筋肉もバキバキ。カラオケも好きだから、新曲の歌詞を覚えることも頭の体操になっています」と屈託のない笑顔をのぞかせた。

岡田調教師、お疲れ様でした!第二の人生も実りあるものでありますように!

取材・文 高橋華代子

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

森泰斗騎手

これから二冠、三冠を狙っていけるように、また乗せていただけるようなら、馬と一緒に頑張ります。岡田先生の最後の重賞ということで期するものがありました。僕が駆け出しの頃から、いい馬に乗せていただき、たくさん勝たせていただいた先生です。ドラマのような結果になって、うれしいですね。

岡田一男調教師

前回のユングフラウ賞は後ろの位置取りだったぶん、直線の伸びが間に合いませんでした(4着)。今日は仕掛けていき、4、5番手で我慢をしてくれていました。射程圏内に入れて、さすがの森騎手のお陰。ゴール前に出てくれて、びっくりしたけど、うれしかったです。小さいけど根性がある馬ですね。