成長の跡くっきり重賞2勝目
これぞ“ピグマリオン効果”
全国を4つのブロックに分けて行われる、3歳春のネクストスター。北陸(金沢)と東海(笠松・名古屋)の交流競走として行われたネクストスター中日本は、2歳秋の3場におけるネクストスターの覇者の中から、金沢のダヴァンティと笠松のワラシベチョウジャの2頭が参戦。名古屋からは、ネクストスター名古屋2着のミトノウォリアーに加え、秋に門別から転入後、重賞勝利を含む実績を積み重ねてきたスティールアクターとフークピグマリオンがエントリーし、多士済々の組み合わせとなった。
当日朝の段階で、注目を集めると思われたスティールアクターが疾病のため出走を取り消した。更に、夕方前から降り始めた雨が夜のレースの時には風を伴って強まり、馬場状態はひとつ前のレースで重から不良へと悪化。春の嵐の中、混戦の予感が名古屋競馬場を覆った。
レースは、発馬を決めたダヴァンティがハナを取ると、ミトノウォリアーが2番手を確保。ワラシベチョウジャは直後を追走し、フークピグマリオンも中団外目の「理想的な位置」(今井貴大騎手)を押さえた。勝負所の3コーナーでは、ミトノウォリアーがダヴァンティに楽な手応えで並びかけ、鞍上に促されながらフークピグマリオンもその直後まで進出。直線では、他を引き離しながら地元の人気両馬による一騎打ちの様相となった。
直線半ばで一旦2馬身ほど前に出たミトノウォリアーだったが、外からフークピグマリオンが急追し形勢逆転。ゴールでは鞍上の今井騎手が小さく拳を握って「恐らく騎手人生で初めて」というガッツポーズを見せ、2022年8月の笠松・くろゆり賞以来久々の重賞勝利の喜びを表した。ミトノウォリアーが1馬身差の2着。4馬身遅れた3着には、サンデーロウリュウが追い上げた。
敗れたミトノウォリアーは、これまでも前に馬がいなくなると走るのを止めようとする面があった。今回着用したチークピーシズもこれという効果は認められなかった様子で、岡部誠騎手は「100の能力があっても、80しか出せないのではそれが“実力”ということ。毎回リセットしながら、工夫も含めてやっていくしかない」と、潜在能力を引き出し切れぬ歯がゆさと無念さを口にした。
一方、逃げたダヴァンティは3着から更に3馬身差の4着。昨年のネクストスター金沢の後順調に使えずにシーズンを終えていたそうで、栗原大河騎手は「休み明けの前走も時計自体は遅かった。今回は厳しい戦いになるとは思っていた」と、初めての遠征だけではなく、復調途上にある現状も敗因に挙げた。
笠松のワラシベチョウジャは、8着だった。レース直前の装鞍のあと、渡邊竜也騎手が心配そうな表情で「馬体が、結構減っていた……」と語っており、冬の休養後に2走連続して馬体減となったことが、能力発揮に影響した可能性がある。ぎふ清流カップ(6月20日・笠松1400メートル)を当面の目標とする短距離路線を進むと見られるが、活躍に向けてはまず肉体面の立ち直りが求められる。
勝ったフークピグマリオンは、昨年11月のゴールドウィング賞に続き、重賞2勝目。今後は、駿蹄賞(5月3日・名古屋2000メートル)から東海優駿(5月29日・名古屋2100メートル)へと続く東海地区の3歳重賞路線を歩む見通しだ。今回欠場したスティールアクターの動向や、敗れた馬たちの巻き返しも含め、戦力相場が明確には定まらぬまま突入する春の陣。その戦いの行方が大いに注目される。
取材・文坂田博昭
写真早川範雄(いちかんぽ)
Comment

宇都英樹調教師
(今井)貴大で勝てたのが、本当に嬉しいです。馬に関しては厩務員と貴大に任せています。移籍当初は気性面で難しさが残る馬でしたが、今は成長し大分良くなりました。肉体面でもトモが大きく高くなって来ているように見え、筋肉が大分ついてきていると感じます。次走は5月3日の駿蹄賞に向かいます。








今井貴大騎手
枠順も理想、道中の位置も理想的でした。長く脚を使う馬なので、4コーナーから早めに動いてライバルの後ろについた時点で、直線ではなんとかなるだろうと思っていました。(課題だった)手前も、調教の成果で今日は替えてくれましたね。次走以降は、距離が長くなる分この馬の持ち味が出ると思います。