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第24回名古屋グランプリJpnII

レコードで圧巻の逃げ切り
  前回覇者は馬場に泣く

名古屋競馬場が最も多くの来場客を迎え盛り上がるのが、5月の大型連休の開催。昨年までこの時期に行われていたかきつばた記念JpnIIIに代わり、今年は名古屋グランプリJpnIIが行われた。実施されるレースは変わったが、来場客が醸す熱気は変わることなく、スタンド前の石畳を埋め尽くす人々の視線と声援を受けつつ、2100メートルの戦いに12頭が挑んだ。

レース前、検量室付近に準備のため姿を見せ始めた遠征馬の騎手や調教師の間で、馬場傾向の大きな変化が広く話題となった。週末を挟んで4日間行われてきた今開催では、どのレースでも馬群は内ラチ沿いを空けることなく進み、従来の内を使わずコースの真ん中より外で勝負していた光景とは、全く異なるレースが展開されていた。加えて、今回の出走メンバーの中に明確な先行馬がいなかったこともあり、各陣営ではそれぞれに馬の特徴と馬場状態を重ね合わせ、作戦を練っていたようだ。

いざゲートが開くと、戦いの様相はすぐに明らかとなった。キリンジの和田竜二騎手も「行く馬がいないし、今日の馬場なら」と外枠から先手主張の構えを見せたが、「スタートが良ければ先手を取りたいと思っていた」という武豊騎手が、ノットゥルノをすぐに先頭へと誘う。キリンジが離れた2番手となり、高知から参戦してきたヒロイックテイルが更に離れた3番手。その後ろも間隔が開き、他の馬たちがつばぜり合いを演じながら先行勢を追いかける機を窺っていた。

しかし、速いラップを刻みながら後続をどんどん離していくノットゥルノの走りの前に、ライバル達はなすすべがなかった。ノットゥルノがそのまま、後続を8馬身離して逃げ切り。勝ち時計の2分10秒9は、昨年12月に行われた前回の名古屋グランプリJpnIIでディクテオンがマークしたものを1秒5上回る、コースレコードだった。

ヒロイックテイルが、ゴール前でキリンジを交わし2着に入った。JRAオープンでの勝利があるとは言え、それも3年前の話でいまは7歳。健闘と言える活躍に多田羅誠也騎手は「歩様のハマりがしっかりしておらず、まだ良くなる余地がある」と、今後に向けての期待感を口にした。

キリンジは、2馬身半差の3着。和田騎手は「(ノットゥルノが)行くとは思わなかった。追いかける形になり最後苦しくなったが、デキは上がっていたし、先々力がついてきたら面白い」と、敗戦の中にも手応えは感じた様子だった。

前回12月の当レースでは、後方から外を回しての追い込みで勝ったディクテオンだが、今回は見せ場を作れず、キリンジから4馬身差の4着に敗れた。地元・名古屋の岡部誠騎手は、今開催の馬場傾向を最もよくわかっていただけに、レース前に吉岡辰弥調教師に馬場の状況を伝え、作戦を相談したそうだ。レース後、「ある程度押して位置を取りに行ったけれど、かかっていく馬ではないので位置も取れなかったし、(有利な)内ラチ沿いも取れなかった。今日はこの馬の脚質が馬場に合わなかった」と話す表情には、無念さが満ち溢れていた。

前走の川崎記念JpnIでは、高いレベルの仕上がりで臨んだものの力を出せず敗れたノットゥルノ。当時、武豊騎手は結果を受けて「いつ走るかわからないところがある」と残念そうに首をかしげていたが、今日は人馬ともにその鬱憤を晴らすような、鮮烈なパフォーマンスを見せた。検量室前に帰ってきた人馬を、満場の観客が祝福の声援と拍手で迎え、武騎手も小さく左手を上げて笑顔でそれに応えたシーンが、とても印象に残った。

取材・文坂田博昭

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

武豊騎手

少しペースは速くなりましたが、今日は気分よく走ってくれたみたいだし、右回りもいいようです。馬が凄く充実してイレ込みもマシになり、厩舎がこの馬の仕上げを手の内に入れている感じがします。(馬場状態が前回来場時と)急に変わっていて驚きましたが、地元の騎手から良いアドバイスをもらいました。

音無秀孝調教師

(前走の)川崎記念が(力を出し切って)走っていないので、息の入りも早かったですし、疲れもありませんでした。左回りが苦手というのは明らかですね。これから先、左回りのGI/JpnIは諦めて、右回りだけ目指して行きます。春は帝王賞、秋は佐賀のJBCと東京大賞典が目標。左回りはもう使いません。