無傷6連勝でニューヒロイン誕生
3着キャリックアリードがGDJ優勝
今年で70回を迎えた伝統の一戦、エンプレス杯(キヨフジ記念)JpnII。2003年以降は2月下旬から3月上旬の施行だったが、ダート体系整備により今年から時期が変更。7月実施だった01年以来となるナイターでの実施となった。
兵庫と高知からの各1頭を含む12頭が集った。1番人気はデビューから5連勝中のオーサムリザルト、2番人気が昨年のJBCレディスクラシックJpnI優勝馬アイコンテーラー、3番人気が昨年の覇者グランブリッジ。アーテルアストレア、ライオットガールと続きJRA馬が上位人気を独占した。
そんな豪華メンバーの戦いで、武豊騎手のオーサムリザルトが地方のナイター初参戦ながら、無傷の6連勝を達成した。
川崎の2100メートルはコーナーを6回通過する。オーサムリザルトは最初の3コーナー過ぎで先頭に立った。「スタートがちょっと難しい馬ですが、今日はいいスタートが切れました。行きっぷりもすごく良かったので、あまり無理に抑えずと思って、先手を取りました」と武騎手。
続いてアイコンテーラー、ライオットガール、アーテルアストレア、グランブリッジとJRA勢が先行。その後ろを、大井のキャリックアリードをはじめとした地方馬が追走。隊列は縦長となった。
オーサムリザルトの手応えは終始抜群。直線で後続を離すと、グランブリッジがメンバー最速38秒4の脚で猛追したが、クビ差振り切った。武騎手は「手応えは良かったですが、1頭になると気を抜く癖があるので、ちょっとヒヤッとしましたが、内容的には完勝だったと思います。まだ強くなりそうなので、これからが本当に楽しみです」と笑顔。
レース後には池江泰寿調教師が「まだ妄想に近い話ですが、国内で1、2回使ってから、ブリーダーズカップ・ディスタフ(デルマ―)に挑戦したいと思っています」というビッグプランを明かした。
オーサムリザルトは重賞初挑戦ながら、並み居る強豪牝馬を無敗のまま一蹴。大きな夢を抱かせるニューヒロインが誕生した。
一方、地方最先着は3着のキャリックアリード。2番目に速い上がり38秒8の脚で追い上げる力走を見せた。「位置を取りたくて出していった割には、リラックスして走れました。ロスなく回りましたが、このくらいやれたのは大きいです。距離の融通が利くのもわかったので選択肢が広がりますね。どこかでタイトルを獲らせたいです」と御神本訓史騎手。ここまで1600から2100メートルで崩れなく走っており、今後どんなローテーションを組んでいくのかも楽しみだ。
なお、グランダム・ジャパン古馬春シーズンは、このレースで全日程を終了。クイーン賞JpnIII・3着、兵庫女王盃JpnIII・4着と堅実な走りだったキャリックアリードが、今回地方馬最先着のエクストラポイントも加えて合計70ポイントとし、総合優勝に輝いた。
取材・文高橋華代子
写真築田純(いちかんぽ)
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池江泰寿調教師
テンションが高かったので出遅れを心配していましたが、さすがはユタカジョッキーで、スタートが抜群にうまくて、決まった時点で、今日はいい競馬になるだろうと思いました。道中フワフワ物見をしていましたが、かえって(ハミを)噛まなかったので、それも良かったと思います。
武豊騎手
今までずっと勝ってきたのでストップさせたくないなという気持ちと、今日は強いメンバーだったので、どこまでやれるかなという気持ちと、両方ありました。状態は今までで一番いいと聞いていて、実際にそう感じました。オーサムリザルトのいいレースができて本当に良かったです。