不安説を一掃し大差圧勝
満を持して秋の大舞台へ
フジユージーンの東京ダービーJpnI回避は残念だったが、その週のうちに乗り込みは再開された。いつものように気合いが乗り、動きの悪いところもない。アクシデントも少なくないが、一方で回復の早い馬でもある。
冬期間は静岡、那須の牧場で調整を進めて3月の京浜盃JpnIIを目標としていたが、途中で順調さを欠く時期があり、レースへの登録は取り下げ。しかし「水沢へ帰ってきたよ」という瀬戸幸一調教師の声を聞いて、攻め馬を見に行ったフジユージーンは今にも速い時計を出しそうな勢いで、2、3週間も乗れば実戦に使えそうに見えた。ひとたび調子を取り戻せば、グングンと状態を上げていくのだろう。もちろん100点満点とまでは言わないだろうが、スプリングカップ、ダイヤモンドカップは完勝。今回はまたひと息入る形となったが、乗り込みを再開してからは上昇一途。最終追い切りは菅原辰徳騎手が直線入口でステッキを抜いただけ、手綱が全く動くことのない文句なしの動きを見せ、本番へ向かうことになった。
バウンスライトがスタート前にゲートを開けて飛び出してしまうアクシデントはあったが、フジユージーンが逃げてしまうのか、何かを前において進めるのかが、レース前半の興味の対象。スタートは今ひとつだったが、外枠でもあり村上忍騎手は少し促しての2番手はイメージ通りとのこと。強気の先行に出たのは岩本怜騎手のコンバットスプーンだったが、150キロ以上馬格差のあるフジユージーンにマークされては堪らない。
フジユージーンは2周目の向正面に入ったところで先頭に立ち、3コーナーで後続を離すところで場内からどよめきが沸くのはいつもの光景。そして最後の直線は、馬券を離れての拍手歓声があがって大差でのゴールを迎えた。
フジユージーンに続いたのは、4番手を確保して高橋悠里騎手が懸命に前を追ったサクラトップキッドで、これも後続には7馬身差をつけて今後への期待が広がる2着。2番人気のレッドオパールは終始折り合いを欠き、思ったような競馬にならなかった。
フジユージーンは東京ダービーJpnI回避後の不安説を一掃し、東北優駿のタイトルを獲得。次走は9月3日の不来方賞JpnII、そして10月2日のジャパンダートクラシックJpnIを目指す。
この日の水沢競馬場は開門を待つファンの行列や前半レースからの親子連れの歓声、ゴール前に並ぶカメラの数など朝から雰囲気が違っており、本場入場者は前年比130%、フジユージーンへの期待の大きさを感じさせた。だが、一方で厩舎スタッフの気の遣いようも大変であろうと推察する。
瀬戸幸一厩舎といえば、思い出されるのは2010年の岩手三冠馬ロックハンドスターで、夏にはジャパンダートダービーJpnI、黒潮盃に出走したが、翌11年にJRA東京競馬場で行われたマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIで競走中止。また、11年にもベストマイヒーローがダイヤモンドカップまで8戦7勝の数字を残し、ジャパンダートダービーJpnI、黒潮盃と遠征したが、そのレースが現役最後の出走となってしまった。その当時ベストマイヒーローを担当していたのが、現在フジユージーンを担当する富澤文智厩務員で、彼もまた遠征競馬の難しさも経験してきた。「この馬と来年、再来年と長い付き合いにしたい」という願い通りの活躍が続くことを祈る。
取材・文深田桂一
写真早川範雄(いちかんぽ)
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瀬戸幸一調教師
東京ダービーを辞退してご心配をおかけしましたが、今日のレース内容で納得してもらえると思う。アクシデントはあったが順調に回復できたし、追い切りも予定通りで馬体重も想定内。初距離も対応してくれた。次走は不来方賞へ直行、暑さ対策を考えながら短期放牧に出る予定。万全の態勢で向かいたい。







村上忍騎手
東京ダービー辞退後の調整は大変だったと思うが、しっかり立て直してくれて感謝。前走と違い、今日は落ち着いていたから乗りやすかったし、いつも通りの強さで勝った。次走は夏過ぎのレースになるので、無事に乗り越えて欲しい。さらに強い相手になるので、自分も気を引き締めて臨みたい。