粒ぞろいの高知3歳世代
鮮やかに逃げ切り二冠制覇
2023年デビューの高知所属馬が西日本の地方交流重賞で好走を重ねている。グレードレースでもJRA勢と互角に渡り合い、打越勇児厩舎のシンメデージーは東京ダービーJpnIで4着に食い込んだ。田中守厩舎のグラインドアウトも関東オークスJpnIIで3着をもぎ取った。
高知優駿の馬場入場が始まって、実況の橋口浩二アナウンサーが言った。
「この世代の3歳は、遠征競馬でも大活躍。高知競馬ヴィンテージ・イヤーの高知優駿となりました」
今年で52回目を迎えた高知優駿。10頭の高知所属馬と2頭の遠征馬が、良馬場の1900メートルを舞台に覇を争う。単勝1.2倍の1番人気に推されたのが、7連勝中のプリフロオールイン。一冠目の黒潮皐月賞に続いて二冠制覇を目指す。県内外の重賞・準重賞で上位を争うワンウォリアーが2番人気、浦和の重賞ホース・アムクラージュが3番人気に支持された。
プリフロオールイン&宮川実騎手がロケットスタートを決めて逃げを打った。アムクラージュがピタリと2番手マーク。マジックセブンが3番手を追走する。
2周目の向正面から3コーナー、アムクラージュが後退してマジックセブンが2番手に浮上。ワンウォリアーが4番手から進撃を開始する。
4コーナーをまわって直線、逃げるプリフロオールインの脚色は衰えず、後続を突き放して圧勝。ワンウォリアーが7馬身差の2着、マジックセブンが2馬身差の3着に入った。
2分5秒0という勝ち時計は、高知優駿の歴代2番目にあたり(最速は不良馬場)、古馬重賞かと見まごうような記録。スタートからの600メートルが38秒9、ゴールまでの600メートルが38秒8とほぼ同じで、逃げた馬が上り3ハロンでメンバー最速。宮川騎手の騎乗も光った。
「初めての距離だったんですけど、最後までしっかり脚が残っていました。勝ってくれたプリフロに感謝です。本当に素晴らしいスピードを持っていますし、全国に通用する馬だと思うので、色々なレースに挑戦していきたいですね」
宮川騎手も打越調教師も、高知優駿は初制覇。師弟のタッグで勝利をつかんだ。打越調教師は安堵の笑顔を浮かべる。
「プレッシャーを感じていたのでホッとしました。圧倒的な1番人気で、距離適性は未知数だったので胃が痛かったです(笑)」
2着ワンウォリアーの手綱をとった岡村卓弥騎手はこう振り返る。
「この馬の持ち味を活かせるように追い出しをギリギリまで我慢して、理想的なレース運びができました。今日はタフな馬場なので、『プリフロオールインの脚が止まってくれたら』と思っていたのですが、突き放されてしまいました。馬は頑張って走ってくれましたし、これで負けたらしょうがないですね」
3着マジックセブンに騎乗した佐原秀泰騎手も、勝ち馬の強さに目を丸くした。
「理想的な位置でレースを進められたのですが、勝った馬があんなに強いとは。完敗ですね。マジックセブン自身はまだ伸び代があるので、成長が楽しみです」
この世代、いったいどの馬が一番強いのか。ファンの競馬談議にも花が咲く。かつては経営状況が悪化し、2歳新馬戦すら行われていなかった高知競馬場。2015年に新馬戦が復活して、9世代目にしてこの豊作。打越調教師にその理由を訊ねると……
「高知には新馬戦がなかった時期があるので、2歳の作り方は他場に比べてまだまだ遅れを取っているという意識があります。自分達はもっと勉強していかないと」
あくなき探求心が、躍進の理由のひとつなのだろう。
※レース後に妹尾将充騎手が聴き取り、書き起こした騎手のコメントはこちら。
取材・文井上オークス
写真桂伸也(いちかんぽ)
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打越勇児調教師
レースはこの馬の形になったので『これで負ければ仕方ないな』という気持ちで見ていました。すごく走りのリズムがよくて、フォームも美しい馬です。臆病なところがあるのですが、レースではそこがいいほうに出ているようです。状態を見て問題がなければ、三冠目の黒潮菊花賞(8月4日)へ向かいます。







宮川実騎手
本当にホッとしました。スタートセンスがよすぎるぐらいで、ゲートを出たら横に誰もいなかったので『この馬のレースをするだけだな』と。他の馬は意識せず、自分とプリフロだけが走っている感じで乗っていました。これからも全国に負けないような馬を、高知競馬から誕生させていきたいと思っています。