直線勝負の末脚はじけ重賞3勝目
キャリックアリードは悔しい2着
まれにみる混戦となっているダート牝馬路線。この1年間で、ライオットガールとアーテルアストレアが牝馬限定のダートグレードで2勝を挙げているが、絶対的な存在とは言い難く、毎回勝ち馬が変わっているような印象がある。
そんな背景もあってオッズも割れ加減。アーテルアストレアが単勝3.8倍の1番人気に推されたが、ダートグレード初挑戦のミラクルティアラが3.9倍、ライオットガールが4.4倍と僅差で続く。以下も差はなく、出走12頭のうち単勝ひと桁台が6頭という、どの馬が勝ってもおかしくない一戦となった。
当日の馬場は稍重。全体的に時計は少し遅く、力の要る状態でスタートが切られた。ダッシュ良く先手を奪ったのは大井のボヌールバローズで、ヴィブラフォンとフーリッシュホビー(船橋)も先行。ライオットガールが中団の内で息をひそめ、出遅れたミラクルティアラもこの一角につける。地方勢期待のスピーディキック(浦和)とキャリックアリード(大井)が続き、さらにその後ろをアーテルアストレアが追走する形になった。
3コーナーで馬群が凝縮。結果的に力の要る馬場での前半3ハロン35秒7は、先行勢に厳しい流れだった。ボヌールバローズ、フーリッシュホビーが後退。ヴィブラフォンだけが手応えよく4コーナーを回ってきたが、それ以上に差し勢の脚いろがいい。大外を回ったアーテルアストレア、内の狭いところを抜け出してきたキャリックアリードが位置取りを上げ、3コーナーでいったん後退したスピーディキックも内ラチ沿いから盛り返してきた。
直線はヴィブラフォンが単独先頭。懸命に押し切りを図るが、ハイペースが響いて脚いろが鈍った。そこへ強襲したのがアーテルアストレアと、外へ切り返したキャリックアリード。ゴール前でこの2頭が抜け出したが、終始リードしていたアーテルアストレアが最後まで抜かせず、クビ差で勝利をものにした。
各馬が主役になりえた一戦。展開面の助けはあったものの、アーテルアストレアがパワフルな末脚で制した。菱田裕二騎手は「最近はコース形態に合わせて早めに動かす競馬をしてきましたが、今回はこの馬のいいときのリズムを意識して乗ろうと思っていました。最後もはじけてくれて、強いところを見せてくれましたね」と持ち味を最大限に生かし切った騎乗。これで昨年のレディスプレリュードJpnII、今年のクイーン賞JpnIIIに続く重賞3勝目となり、別定57キロで勝ち切ったことも踏まえれば、牝馬路線で一歩リードしたといえる。混戦に断を下せるか、今後の走りに注目だ。
大井のキャリックアリードのレースぶりにも目をみはるものがあった。馬群が密集した3コーナーで内1頭分のスペースに飛び込む鞍上の好判断。赤岡修次騎手は「思い描いた通りのレースになったし、内を突けたのが良かったです。でも、あそこまで来たなら勝ちたかったですね」と自身の騎乗に納得しつつ、悔しさも交えて話した。悲願のダートグレード制覇はならなかったものの、グランダム・ジャパン古馬シーズンの春秋制覇へ向けては、絶好のスタートを切った形。この秋も気合のこもった走りを見せてくれるに違いない。
ヴィブラフォンは差し馬が台頭する厳しい流れで3着に踏ん張った。菅原明良騎手は「外枠から少し無理をしていきましたし、テンが流れて厳しい競馬になってしまいました。それでもしっかり走ってくれました」とパートナーをねぎらった。この厳しい展開を粘ったのは実力の証明で、今後も馬場や展開次第で勝機が巡ってくる。
取材・文大貫師男
写真築田純(いちかんぽ)
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橋口慎介調教師
調教はあまり動かない馬なのですが、今回はかなり動けていました。後方からになりましたが、前走が前につけて脚を使えなかったので、これくらいの位置でいいかなと思って見ていました。期待通りの差し脚でしたね。状態次第ですが、次走はレディスプレリュードあたりになるのではないかと思っています。









菱田裕二騎手
向正面に入ったときに少し前と離れたなと思ったのですが、手応えは良かったので、焦らず信じていこうと思って乗りました。直線半ばでは前の馬を交わせるなという手応えで、いい脚を使っているときに後ろから差されたことはないので大丈夫だろうと思っていました。強いところを見せられて良かったです。