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第23回ノースクイーンカップ

早め先頭から直線突き放す
  初めての遠征で重賞初制覇

北の地の牝馬重賞ノースクイーンカップは、グランダム・ジャパン(GDJ)創設の2010年から古馬シーズンの対象レース。その初年度こそ他地区から4頭の遠征があったものの、その後は遠征馬が1頭ないしゼロという状況が続いた。しかし近年の賞金アップ(17年から1着500万円、23年から同600万円)もあってか、19年以降は毎年2~4頭が遠征。今年も他地区枠一杯の4頭が南関東から遠征してきた。

それでも期待は地元の重賞実績馬。川崎から再転入初戦のヒダカソウカップを快勝したサンオークレアが単勝2.0倍。同2着で、その後3歳牝馬重賞フロイラインカップを勝ったポルラノーチェが3.3倍で、2頭に人気が集まった。離れて6.9倍で大井のラブラブパイロ、船橋から北海道に再転入2戦目となるメイドイットマムが7.0倍で続いた。

ヴィヴィアンエイト、カーロデスティーノが競り合うように先行し、3番手以下は離れて縦長の展開。それでも見た目ほど速いペースではなく1000メートル通過が64秒0。それを察知してか、人気のサンオークレアが中団から徐々に動き出すと、さらにうしろから向正面中間で一気に位置取りを上げていったのがラブラブパイロで、3コーナー手前で早くも先頭に立った。

これには管理する荒井朋弘調教師も「抜け出すとフワフワするところがあるので、(先頭に立つのが)早いんじゃないか」と見ていたという。しかし先頭に立っても一気に抜け出してしまうのではなくヴィヴィアンエイトと併走。4コーナーでヴィヴィアンエイトが後退すると、入れ替わるようにラチ沿いを抜けてきたメイドイットマムと併せるような形になって直線を向いた。一旦は追い比べとなったが、直線半ばで抜け出したラブラブパイロは最後まで集中力を切らさず走り切って先頭でゴール。

人気のサンオークレアは3コーナー過ぎから鞍上の石川倭騎手がムチを入れてラブラブパイロを追ってきたが、差を詰めることはできず2馬身差。内で粘ったメイドイットマムが3/4馬身差で3着。ゴール前一気に伸びたポルラノーチェがハナ差4着。人気上位の地元馬はそれぞれ能力を発揮したが、それを上回るパフォーマンスを見せたのがラブラブパイロだった。

5歳になっての今回が初めての他地区遠征で重賞初制覇。とにかく初めての環境で集中できない難しい面があるという。大井で出走するときも小林分場からの輸送があり、輸送自体に問題があるわけではない。これまで大井以外では3歳時に川崎を2度使ったことがあるが、ロジータ記念の前哨戦として臨んだサルビアカップでは物見をしてレースにならなかったという。それでも昨年4歳以降は大井のみを使うことで好走を続け、3着以内を外したのはJBCレディスクラシックJpnI(8着)と、休養明け初戦となった今年4月のA2以下の特別戦(6着)だけ。昨年末の東京シンデレラマイルでは4コーナーでほとんど最後方に近い位置から直線大外を追い込んでスピーディキックにクビ差2着に迫る能力の高さを見せていた。

今回は地方の牝馬重賞を求めての遠征で、このあと盛岡のビューチフルドリーマーカップ(9月1日)も当初からの予定とのこと。その後は、必然的に地元大井のレディスプレリュードJpnII(10月1日)で、GDJ古馬秋シーズンの女王を狙うことになる。

取材・文斎藤修

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

西啓太騎手

初物が苦手な繊細な馬だったんですけど、落ち着いて臨むことができて、感じはよかったです。関係者のみなさんが輸送も順調に調整してくれたので、それが実を結んだと思います。抜け出してからも遊ぶようなところがあるので、正直ゴールするまで(勝てるかどうか)わからなかったです。

荒井朋弘調教師

気分よく走れれば強い勝ち方をするときもあるんですが、なんでここで負けるんだということもあるような気難しい馬で、今回は内枠に入ったのも心配だったんですが、今日のレースを見ると精神的に大人になったのかもしれません。他地区遠征で(荒井調教師自身)久々に重賞を勝ててうれしいです。