現役最強馬が人気に応える
目指すは重賞最多勝記録
ばんえい競馬で唯一ファン投票で出走馬を決める重賞レース。例年5~6千票台だった票数は2022年に1万を超えてからは急激に増え、今年は2万4千弱まで伸ばした。ばんえい人気の高まりの中、4年連続で1位に選ばれたのがメムロボブサップだ。勝率44.7%、連対率75.7%の現役最強馬。父は大柄な馬格で同レースなど重賞6勝のナリタボブサップだが、生まれた時は小柄で買い手がつかなかった。
デビューしてから頭角を現し、2歳シーズンに重賞2勝、初めて3、4歳両方で三冠馬となる。若馬でスピードを生かし活躍するとその後の高重量で伸び悩む馬も多い中、確実に力を付けて5歳でばんえいグランプリを初制覇し、その後3連覇。23年にはばんえい記念を勝利した。父から受け継いだ抜群の障害力で、高重量への対応力だけではなく軽馬場でのスピード力も持ち合わせ、常識を覆す活躍を続ける。今季は4月のばんえい十勝オッズパーク杯を快勝し、その後の重賞を回避して万全の状態で臨んできた。
北海道でも暑さの厳しい帯広では、体調を考えてグランプリを回避する馬もおり今年は6頭立て。4連覇を狙うメムロボブサップが単勝1.2倍の人気で、今季重賞2勝で波に乗る5歳馬クリスタルコルドが2番人気、ファン投票2位の最強牝馬サクラヒメが続いた。
馬場水分は1.9%。2日前にロータリーハローをかけて少し重い馬場となった。コマサンエース、クリスタルコルド、メムロボブサップが先行し、道中はゆっくりと進む。第2障害手前に最初に到達したのはメムロボブサップで76秒。
各馬息を入れ、重賞で好走を続けるコマサンエースが最初に障害に仕掛けた。障害巧者のインビクタもすんなりと上ったが、最初に降りたのは2番手で上ったメムロボブサップ。粘るコマサンエースにメムロボブサップの阿部武臣騎手は「動きが良くドキッとした」というが、残り30メートルで気合を入れるとぐいっと伸び、2着に4秒6差を付け完勝。大滝翔アナウンサーは「帯広の夏、メムロボブサップの夏です」と実況しスタンドからは拍手が起こった。
2着に粘ったコマサンエースの金田利貴騎手は「(勝ちを)狙っていた。もう少し前に行きたかった」と思い切った騎乗を見せた。この日は母校の白樺学園高校が、自身が出場した時以来の甲子園で惜敗。後輩に胸を張れるレースぶりだった。3着はインビクタだった。
メムロボブサップはアサギリ(1991~94年)に並ぶばんえいグランプリ4連覇を達成し、重賞通算18勝。今後は未勝利の北見記念や帯広記念を目指し、3月にはばんえい記念へと向かう。そしてオレノココロが持つばんえいの重賞最多勝25勝に向け「肩掛けを飾る場所は用意している」と竹澤一彦オーナー。希代の名馬の挑戦は続く。
取材・文 小久保友香
写真 早川範雄(いちかんぽ)、NAR
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坂本東一調教師
暑さの心配はありましたが、阿部騎手が調教で努力してくれて最高の状態で臨めました。スタートをそろって出た時点でもう大丈夫だと思いました。一完歩進んだ時点で次の脚が伸びていた。ファン投票1位はうれしい。信頼してくれた馬主、ファンがいることを頭に置いてやらなくてはいけないです。









阿部武臣騎手
ほっとしています。いつも通りのレースをすれば(勝てる)、とそれだけを考えていました。暑さに強い馬ですが、年齢を重ねて堪えるところもあったかな。調教は重量や回数をセーブしながら進めました。少し雨が降ったがふかふかした重い馬場で、息を入れられたのでプラスだったと思います。