スローの逃げで押し切る
人気に応え昨年2着の雪辱
今年の盛岡開催は雨に祟られている。芝コースは7月下旬以降、走路状態の悪化で回復が見込めないことからすべてダート変更。8月4日には17時前からのゲリラ豪雨で、かなりの視界の悪さにダートコースの砂が大量に流され、地方交流重賞・OROカップ、M&Kジョッキーズカップ(佐賀所属騎手招待)など後半4競走が取止め。そしてクラスターカップJpnIIIが予定されていた8月12日の開催は台風5号の影響で取止め。ただ11日の11時には、14日への代替開催が発表されるなど対応は早かった。
地方他地区からの参戦は北海道のスペシャルエックスのみで、地元岩手は7頭。JRAからは5頭が参戦し、顔ぶれをみてもJRA勢の優勢は間違いないところ。
昨年2着だったドンフランキーは、その後東京盃JpnIIを制し、ドバイゴールデンシャヒーン2着からの遠征帰りで、今回の馬体重は607キロ。斤量は57キロでも単勝1.8倍の1番人気に支持された。芝の新馬戦11着後、ダートにシフトして6戦5勝のコスタノヴァは目下3連勝の勢いもあり単勝2.2倍で、一騎打ちムードに。武豊騎手で挑むジレトールは、ダート1200メートルのオープン特別2連勝中で単勝6.2倍の3番人気。ダートグレードで好走実績あるクロジシジョーが12.7倍で続いた。
レースは、ジレトール、コスタノヴァが出遅れて後方から。予想通りドンフランキーが先頭に立ち、サンエイウイング、ケイアイドリー、ビクトリールーラーが追走した。ドンフランキーは砂の深い内目を避け、馬場の四分どころを通っての逃げ。
残り600メートルではドンフランキーの直後2番手にケイアイドリーがつけ、クロジシジョーはまだ6、7番手あたり、コスタノヴァはそのうしろ中団、ジレトールは依然後方から2番手。好位・中団グループからの動きがなかなか見られず、持ち前のスピードとパワーを繰り出してドンフランキーが逃げ切った。スローペースに持ち込んでの勝ちタイムは1分10秒0(12.5-11.3-11.7-11.4-11.2-11.9)。
直線外へ持ち出して伸びたクロジシジョーが半馬身差の2着。2馬身差でケイアイドリーが3着。出遅れて後方からとなったジレトールは上り33秒5の脚を使い大外から追い込むも4着まで。
勝ったドンフランキーの池添謙一騎手は、「今回は斤量が重かったですけど、力通り走ってくれれば十分チャンスあると思っていたので、しっかりスタートを決めてと思っていました。返し馬の感じでは緩さもなく、いいフットワークで走ってくれているし、状態はいいのかなと感じた。月曜日の予定が水曜日になって、月、火と調教できなかったので、その分600キロの大台に乗ったのかなという感じ。最後のほうは少ししんどくなりかけたけどよく踏ん張ってくれた。ビジョンを確認したら外から迫って、詰められているのがわかりました。交わされる感じはしなかったので強いレースだったと思います。次は予定通りならアメリカ遠征のプランを練っているみたいです。乗せてもらえるようこれから一つ一つ頑張っていきたいと思っています」
齋藤崇史調教師は、「これでグッと状態も上がってくると思いますし、脚元さえ不安がなければデルマー競馬場で行われるブリダーズカップスプリントへ行きたいと考えています」
取材・文峯村正利
写真佐藤到(いちかんぽ)
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齋藤崇史調教師
レースが順延されたことで3日間は輸送と運動だけでした。その分だけ体重は増えていましたし、仕上げは100パーセントではなかった。それで勝ちきってくれて良かった。馬が頑張ってくれました。次につながる内容だったと思います。
池添謙一騎手
昨年はリメイクに負けてしまって悔しい2着。ハナを切る馬なのでまずはスタートだけ集中して、普通くらいに切ってくれて二の脚がすごく速かったので、あとは自分のペースで走って、スパートも自分のペースでできればいいなと思って乗っていた。結果を出さなきゃと思っていたのでホッとしています。