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ヤングジョッキーズシリーズTR 園田

地方騎手は全員地元兵庫
  2戦とも逃げ切りで決着

ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)が始まった2017年はトライアルラウンド(TR)が7カ月にわたるロングラン開催だった。それが昨年は7~10月の約3カ月の短期決戦となり、さらに今年は開幕のTR門別こそ8月7日だったが、2戦目以降は9月からほぼ毎週のように行われる超短期決戦。若手騎手は日々の調教頭数も多く、特に6~8月は西日本のTRに騎乗後、飛行機や新幹線を乗り継いで日付が変わった頃に滞在先の北海道に戻るJRA騎手も複数いたため、夏競馬が終わった時期に集中して開催されるのは移動の負担を考えるといいことだろう。

その超短期決戦の始まりともなるのがTR園田。地方の出場騎手は6名全員が兵庫所属で、同一競馬場の騎手のみでTRが構成されるのは8年目を迎えたYJS史上初めての出来事だ。これは今年4月に新人騎手が4名デビューしたことによるもので、「僕個人だけでなく、兵庫勢としてJRAにTRを渡さない気持ちで頑張ります」と話したのはデビュー4年目の長尾翼玖騎手。地方通算96勝で、減量卒業へあと一歩まできている。その横で笑顔で「なんとか間に合ってよかったです」と出場を喜んだのはルーキー・塩津璃菜騎手。8月初旬の調教中に落馬し、右足骨折のため戦線を離脱していたが、前日からレースに復帰した。

そこに、見慣れぬ風貌の騎手が一人。金髪にパーマをかけた男性は、武者修行中のニュージーランドから一時帰国した大久保友雅騎手(JRA)だった。「形から入るタイプなんです(笑)」とその髪型を話し、「日本とは違って、口が強い馬が多いので筋肉がつきました。自炊しているので健康にも気を遣うようになりました」と充実している様子。また、大阪府出身の河原田菜々騎手(JRA)は「京都競馬場の乗馬苑での先輩が長尾騎手。初めて一緒のレースに乗れるので嬉しいです」と話した。

第1戦はルーキー・新庄海誠騎手と、父が当地リーディングの吉村智洋騎手という吉村誠之助騎手(JRA)が人気を分け合う形となった。その2名に加え、塩津騎手や長尾騎手も逃げ・先行タイプの馬だったが、意外と先行争いは激しくならず、内の塩津騎手の外に吉村騎手がスッと並びかけて最初のコーナーを迎えた。その後も吉村騎手が乗るキャンアイシングの手応えは終始楽で、4コーナーで数回気合をつけたのみで直線は独走。10馬身差で、自身園田17勝目を飾った。離れた2着に後方から差した橋木太希騎手(JRA)。「いつもしまいはいい脚を使う馬だなと思っていて、前が追い出すのを見て僕も追いました。20ポイントを獲れて、気持ちにも余裕が出てくると思います」と安堵の表情を見せた。対して3着の長尾騎手は「気付くと勝ち馬が遥か彼方でした……」と、楽逃げを許してしまったことに悔しそうだった。4着は道中最後方から「もう少し早めに動けばよかったです」とルーキー・土方颯太騎手、5着に河原田騎手だった。

第2戦も逃げ切り勝ちとなった。それを決めたのは、地元のルーキー・高橋愛叶騎手とタンバッフェ。1コーナーで馬群がぎゅっと固まったところで塩津騎手が前の馬に乗り上げるようなシーンもありヒヤッとしたが、ハナを取った高橋騎手は4コーナーでチラッと後ろを振り返ると、直線で後続を離して勝利。

同期の新庄騎手や土方騎手が2桁勝利を挙げる中、自身はここまで5勝と歯がゆさもあっただろうが、「大好きな馬」というキセキの馬主服に袖一本輪を加えた勝負服で、30ポイントを手に入れた。

5馬身差の2着は第1戦に続き橋木騎手で、クビ差で3着となった長尾騎手は「2着馬に並びかけると相手も伸びました。どちらかのレース、勝ちたかったなぁ」と肩を落とした。4着に今年4月付で美浦から栗東に移籍した西塚洸二騎手(JRA)、5着に大久保騎手だった。

西日本のTRはここが初戦だが、4鞍しか騎乗予定のない騎手も多く、地方の暫定1位が36ポイントで高橋騎手とアナウンスされると、先輩の廣瀬航騎手や鴨宮祥行騎手は「愛叶が1位?おぉ~!」と拍手して喜んだ。

その横で、「TR高知に行った時、可能ならエキストラ騎乗したいです」と話したのは新庄騎手。YJSをきっかけにより多くの経験を積んで成長したいのだろう。

JRA西日本の暫定1位は40ポイントで橋木騎手。デビュー以来未勝利ではあるが、過去には小林凌大騎手、水沼元輝騎手、川端海翼騎手らがYJSで初勝利を挙げており、今後に期待が寄せられる。


取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 吉村誠之助騎手(JRA)

ゲートが速く、なるべく先行できれば、との指示通りに乗れればと思いました。能力はこのクラスで抜けていることが分かっていたので、序盤は無理に抑えず、馬のリズムを重視しました。馬が強くて、馬上ですることは特にありませんでした。

第2戦1着 高橋愛叶騎手(兵庫)

調教にも乗っている厩務員から「調子がいい」と聞いていましたし、返し馬のキャンターも引っ張り切れない手応えで、自信を持って乗りました。スタートは無駄な扶助で馬に迷惑をかけましたが、砂を被らず運びたいと考えていました。有馬記念でのキセキの逃げが好きで、そんな気分でした(笑)。