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第31回アフター5スター賞

6歳での本格化で重賞連勝
  さらなる大舞台へ視界良好

創設当初は1800メートルで施行されていたこのレースも、2003年に距離短縮となってから今年で22回目となる。短縮初年度に勝利したハタノアドニス(大井)は、続く東京盃GIIを制し、JBCスプリントGIでも0秒3差の4着に好走。JBCへ続く意義深い一戦として、レースの価値を大いに高めた。今年のJBC開催は佐賀だが、指定競走としての存在感は例年通りで、秋のビッグレースを目指す各馬が顔をそろえた。

春のスプリント路線を歩んできたなかではエンテレケイアが筆頭格。習志野きらっとスプリント制覇、川崎スパーキングスプリント2着の実績を買われて単勝1番人気に支持された。しかし、トライアルを快勝したジゼル、昨秋のスプリント路線で好走を続けたマックス、JRAオープンから転入後5戦4連対のスワーヴシャルルなど、歩んできた路線はさまざま。南関東限定戦とはいえ、力比較の難しい一戦となった。

好スタートを決めたのはエンテレケイアとハセノエクスプレス。特にハセノエクスプレスが速かったが、内のエンテレケイアも並ぶような形で1列目をキープする。マックスとジゼルは5、6番手、スワーヴシャルルは中団うしろにつけた。

勝負どころのコーナーワークでエンテレケイアが先頭へ。ハセノエクスプレスも手応えよく4コーナーを回り、そこへ外からマックスが脚を伸ばす。直線の半ばではマックスの脚いろがよく見えたが、残り100メートルでエンテレケイアがもうひと伸び。最後は1馬身1/4差で、エンテレケイアが2度目のタイトル制覇を果たした。

鞍上は重賞請負人の吉原寛人騎手。前走の習志野きらっとスプリントに続き、エンテレケイアにタイトルをプレゼントした。外のハセノエクスプレスが単騎の逃げにこだわらなかった面もあるが、スタートから半馬身ほど馬体を併せ、前に入れさせなかったのは鞍上のファインプレー。気分良く走らせたことが、ゴール前でのひと伸びにつながった。

管理する小久保智調教師が「少しびっくりしています。6歳にして、ここまで強くなるとは……」と目を丸くしたように、今年は7戦6連対で前走に続く重賞連勝と、顕著な充実ぶりを示している。「プラス8キロという数字通りよく食べるし、このくらいの状態で勝ってほしいと思っていました」と、先々を見据えた状態での完勝に手応えをつかんだ様子。次走予定の東京盃JpnIIが楽しみになった。

2着のマックスは今年前半、順調に使い込めなかったが、休養を挟んで調子を取り戻した。「勝ち馬が強かったね。並んでから、また伸びられてしまった。でも使って良くなっているし、チャンスはあるよ」と御神本訓史騎手。昨年の東京盃JpnIIで5着の実績を見れば、南関東トップクラスの力があることは疑いようがない。今年もこの路線での活躍が期待できそうだ。

取材・文大貫師男

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

吉原寛人騎手

前走よりプラス体重で、跨ったときも少し立派に思えたので、それだけが心配でした。二の脚でハナだけは主張したいなと思っていましたが、3コーナーに入るまでに取りきってくれたので、そこからは自分のリズムで行けました。東京盃、JBCスプリントに向けていいレースになったと思います。

小久保智調教師

若い頃から先頭に立っているときが一番気持ちよく走れる馬。今回も自分のペースに持っていくことができたので、いい調子かなと思って見ていました。このくらいの状態で勝ってほしいと思っていましたし、次走の東京盃はしっかり仕上げてくるので、また応援をよろしくお願いします。