集中切らさず直線先頭へ
3歳馬が歴戦の古馬を完封
ホッカイドウ競馬の短距離路線は、2019年まで道営スプリントが9月下旬~10月上旬に行われ、春の北海道スプリントカップJpnIIIとともにスプリンターの目標となった。10年から19年までは、道営スプリントがJBCスプリントJpnI指定競走とされたが、それ以前を含め、ミスティックダイヤ(09年)、シシノテイオー(10年)、パフォーマンス(11年)、シャイニングアワー(12年)、ラブバレット(岩手・18年)が、道営スプリントを優勝した後、JBCスプリントJpnIに出走している。
20年からは最終開催の目玉として道営記念と同じ日に移行(22年からは道営記念前日)。それとともに、道営スプリントの1着賞金は前年までの2倍となる1000万円に設定され、06年創設当初の意義であった“道営記念の短距離版”として形を成した。時期を移した道営スプリントの穴を埋める形でウポポイオータムスプリントが20年に創設され、JBCスプリントJpnI指定競走となった。第1回の優勝馬となったメイショウアイアンは、JBCスプリントJpnIに出走したが、ホッカイドウ競馬所属馬は21年以降、JBCスプリントJpnIの参戦は1頭もいない。
今年のメンバーを見渡すと、第1回のアザワク(5着)以来となる3歳馬が2頭出走。北海道スプリントカップJpnIIIが3歳限定に生まれ変わり、時期が8月中旬に移った。その効果は、ホッカイドウ競馬の短距離路線に現れたと言えよう。一昨年の覇者スティールペガサスが1番人気に支持され、ポラリスサマースプリント2着のドウドウキリシマ、その3着だったジャスパーメジャーという人気順。ストリームは4番人気だった。
レースは、北海道スプリントカップJpnIIIでも逃げたオスカーブレインが、12.4-10.9-11.6=34秒9のハイラップで逃げ、メンコを取って挑んだストリームが仕掛けて2番手を取りに行った。スティールペガサスは、この2頭から約3馬身離れた3番手を進んだ。
勝負所の4ハロン目は12秒3を刻み、ラップが緩まなかったところでもストリームは絶好の手応えで前を追う。対照的に、スティールペガサスはここで脚を使った分、直線で追い出されてもジリジリとしか差を詰められなかった。直線の攻防で、最後の1ハロンは13秒6だったが、乾き切った馬場での叩き合いでもストリームは後続を寄せ付けず、今年3つ目のタイトルを手にした。
ストリームは、改革元年の北海道スプリントカップJpnIIIを目指し、春は重賞を連勝。ただ、「普段から挙動が不安定な面があり、いかに気持ちを前に向かせるかが難しいタイプ」と岩橋騎手が話しており、確かにレースでも真剣味が足りない時がある。近2走はまさに、その難しさが出てしまった。「メンコを取るのは、気性を考えると一つの賭け」(岩橋騎手)だったが、それまでのストリームとは行きっぷりがまるで違った。それとともに、最後まで集中していた走りは気性面での成長も窺わせる。
3歳馬として優勝したストリームは、地方全国交流である園田の楠賞(11月7日)も視野に入った。「昨年の兵庫ジュニアグランプリでも差のないレース(4着)を見せているので、元々選択肢に入れていました」(田中淳司調教師)と、道営スプリントと両睨みとはいえ、3歳馬同士のレース選択に比重はありそうだ。北海道のトップスプリンターを破ったストリームの今後が、ますます楽しみだ。
取材・文古谷剛彦
写真浅野一行(いちかんぽ)
Comment

田中淳司調教師
ここ2戦は不甲斐ないレースだったので、岩橋騎手も気持ちを入れて、積極的に運んでくれたと思います。好メンバーが揃った中で結果を出せましたが、3歳馬で負担重量の恩恵もありましたし、今後も気を引き締めていきたいと思います。次走は、園田の楠賞もしくは道営スプリントを考えています。








岩橋勇二騎手
前走はスタートでノメったことを含め、序盤からリズムの悪い競馬をしてしまいました。その反省から、気持ちを切らせずに走らせることを心掛けました。メンコを外して行きっぷりが良く、しかも集中した走りで、僕のアクションにも最後まで応えてくれました。