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第61回東京記念

スローペースの直線勝負制す
  2400mでステイヤーの素質開花

東京記念は距離2400メートルで行われJBCクラシックJpnIの指定競走にもなっている。

今年は9頭立てながら、ラッキードリーム、ナッジ、ランリョウオー、ミヤギザオウの4頭が単勝オッズひと桁と人気が割れたことからも、いかに難解なレースだったかがわかる。

ランリョウオーが先手を取ると、ラッキードリームは2番手に控えた。3番手内にナッジ、外にはウラノメトリアと続く。長丁場とあって道中は隊列が動くことなく淡々とスローペースでレースは流れた。

直線に入り残り200メートルでは5頭が横一線。その中から抜け出したのがナッジで、ウラノメトリアに3馬身差をつけ勝利。1馬身3/4差で3着にアイブランコが入った。

ゴール板を過ぎて関係者の前を通った際に大きく左手を挙げた矢野貴之騎手。歯がゆいレースが続いていたナッジとコツコツ向き合ってきた陣営へ贈ったガッツポーズに見えた。

「3歳クラシックを狙って転入してきて、(重賞を)勝つことができず悔しい思いがありました。どこかで勝ちたいなという気持ちがいつもあって、こうしてひとつ勝てたことが嬉しい」とインタビューに答えた矢野騎手。2日前のゴールドジュニアに続く重賞制覇となった。

ナッジは門別でデビューし、8戦目のサンライズカップで重賞初制覇。JBC2歳優駿JpnIIIでは2着に追い上げた。NARグランプリ2歳最優秀牡馬に選ばれたこともあって大井への移籍は注目を浴びた。

しかし南関東クラシックでは前哨戦2、3着から、羽田盃7着、東京ダービー5着と勝ちきれなかった。古馬になってからも足踏みしていたが、2400メートルの東京記念トライアルで長距離にぶつけると粘り強い先行力で勝利し、本戦へと臨んだ。

その間には調教データを取って分析をしながら調整を重ねてきた陣営の努力もあった。

「大井に転入してきた時から診ていますが、その頃と今は心臓が違います。心肺機能が格段に強化されているのを感じます」とチーム・ナッジの一員とも言える嘉数獣医師は話した。

「今後は長距離を使っていくことになると思います。この後は休養に出して、金盃トライアルから復帰することになると思う」と佐野謙二調教師はステイヤーとしての資質を生かしていくと言う。

南関東再転入初戦のラッキードリームは1番人気に推されるも4着。2021年の道営三冠馬で、川崎に移籍後は気性面の課題に苦しんだが、兵庫に移ると2戦目で重賞制覇。ゲートの課題も解消しつつあり前走の六甲盃を逃げ切って重賞12勝目を挙げていた。

「道中のリズムは良かったし、4コーナーでは勝てると思う手応えだったが追ってからが意外と反応できなかった。気性の問題も多少はあるかもしれないけど、軽い跳びをする馬なのでコース形態や砂もあるのかな。直線の長い大井コースに替わって気持ちが切れてしまったような感じ。小回りの方が走りやすいのかもしれませんね。最後ナッジが来ても反応できなかったのは距離もあるのかな」と笹川翼騎手はコメントしていた。

取材・文中川明美

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

矢野貴之騎手

リズムよく運べたと思います。つかみどころのない馬で結果が出せずにいたけど、最近は終いしっかり伸びてくれるという印象で、今日はその通り伸びてくれました。僕の同期(周藤直樹調教師補佐)が考えて調教してくれていましたので、僕は乗っているだけでした。

佐野謙二調教師

なかなか勝ちきれず、重賞はいつ勝てるのかと思っていたので、今日チャンスをものにできて本当によかった。今日は良い状態でいけたしレースで集中してもいたと思います。古馬になってやっと強い馬になってきたので、これからも応援よろしくお願いします。