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ヤングジョッキーズシリーズTR 名古屋

長江騎手が内を突く好騎乗
  望月騎手は地元の利生かす

弥富市に移転した名古屋競馬場へは最寄りの近鉄蟹江駅のほか、ターミナルの名古屋駅から無料送迎バスがある。この日、名古屋駅からのバスは3便。第2便では普段と異なり若い女性の姿が多くみられ、競馬場到着から約1時間半後に行われた出場騎手紹介式では推し騎手への声援も聞こえた。パドックにも他地区やJRAから遠征してきた騎手の横断幕が複数張られており、ファンにとってヤングジョッキーズシリーズ(YJS)は推しを全力応援できる日でもあるのだろう。

その中で横断幕が2枚掲げられていた長尾翼玖騎手(兵庫)はすでに今年のトライアルラウンド(TR)を経験済みで、JRAでは西塚洸二騎手、橋木太希騎手、吉村誠之助騎手がTR園田に続いての出場。そのうち西塚騎手と吉村騎手はこの日が早くもTR最終騎乗となる見込みの一方、それ以外の騎手はここがTR初戦という組み合わせだった。

第1戦を制したのは、東海地区の笠松所属ながら名古屋での騎乗は昨年のYJS以来だった長江慶悟騎手。満面の笑みで馬から降りると、騎乗したハイグッドエースの井上哲調教師から「よかった」と肩をポンと叩かれて労われた。

人気が割れ気味で単勝18.3倍ながら10番人気での勝利に加え、さらに驚かされたのは、4コーナーで砂が深いとされる内からただ1頭差してきたこと。

1馬身半差2着の松本大輝騎手(JRA)は事前に馬場を歩いて確かめた上で「3~4コーナーでは3頭外を回りたかったですが、内の2頭が思ったより外に出てきました。上手く捌けていたらもっと際どかったかも」と話し、「内は悪すぎるかな」という感触だった。それは逃げ粘って3着の西塚騎手もそうで、「内から差してきたら、相当強いのかなと思います」と勝ち馬を称えた。一方で、開口一番「ペース、速かったですか?」と逆取材し、「うーん」としばし考え込む場面も。というのも、吉村騎手が逃げるかと思われたが、「周りの馬が速くて」と内外から飲み込まれはじめると、西塚騎手が「全く逃げ馬が決まらなかったので、『行ってやろう!』と思って」と、スタートから約200メートルのところで外からハナを奪ったのだった。西塚騎手にとってはいい形に持ち込めただけに、もっと上の着順を獲れる手応えがあったのだろう。4着に望月洵輝騎手(愛知)、5着は吉村騎手だった。

第2戦は地元の望月騎手が、道中は二つに分かれた馬群の後方グループから差し切り勝ち。デビューから半年弱ながら前日に51勝目を挙げ、次週からは減量が1キロ減になることが決まった中、若手騎手同士で減量特典のつかない一戦をしっかりと決めた。この日は12レース中11レース、翌日と翌々日も11レースに騎乗予定と騎乗依頼も寄せられている。本人曰く、「調教にできるだけ多く乗れるよう、いろんな調教師に『攻め馬に乗せてくれませんか』とお願いしました」とのことで、その結実。「地方競馬教養センターの修了文集で目標はYJSファイナル優勝と史上最速での100勝達成と書いたんです」と、一歩ずつ近づいている。

現在、通算100勝の地方最速記録を持つのは2020年10月デビューの佐賀・飛田愛斗騎手で、デビューから268日。それ以前は275日で金沢・吉原寛人騎手だった。

その吉原騎手から名古屋コース攻略の金言を授かったのは、弟弟子の加藤翔馬騎手(金沢)。第2戦は2着で、「最後に脚を残すことを意識した方がいい、と教えていただき、2戦とも後方からの馬で、言われたことを少しは生かせたかなと思います」と汗を拭った。3着に「3コーナーから徐々に手応えがなくなったんですけど、2着争いできるかもと全力で追いました」と合林海斗騎手(佐賀)、4着に長尾騎手、5着は橋木騎手だった。

西日本のTR・2場目が終わり、ポイントを最も気にしていたのは橋木騎手。例年だと地方騎手によく見られるシーンなのだが、5着10ポイントなどの加算があり51ポイントで、TR園田に続いてJRA西日本暫定1位をキープと知ると、「あとはまだTRに乗っていない組がどこまで追い上げてくるかですね」と計算した。

ここからさらにTRは日程が詰まり、西日本では5日後の9月23日にTR高知が行われ、ポイント争いが見逃せない。


取材・文大恵陽子

写真早川範雄(いちかんぽ)

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第1戦1着 長江慶悟騎手(笠松)

後ろから行く馬なので、この馬にとってはペースは速く感じました。向正面では外に何頭もいた一方で内が空いていたので、この手応えならインを突いても大丈夫じゃないかなと思い、馬と自分を信じていきました。これで85勝目。今年が最後のYJSだと思っているので、ファイナル出場を狙いたいです。

第2戦1着 望月洵輝騎手(愛知)

前走で騎乗した村上弘樹騎手から「しまいは必ず脚を使うから、冷静に」と聞き、メンバーも前に行く馬が多く展開が向くのではと思い、自信を持って内を突きました。地元で人一倍勝ちたい気持ちが強くて、ゴールの瞬間は「よっしゃあ!」と思いましたが、ガッツポーズはファイナルまで残しておきます。