3コーナー先頭から直線独走
小回り金沢で先行力生かす
今年の台風は例年では考えられない進路を取る。中国大陸に一度は上陸した台風14号も進路を90度変えて真東に進むと、その影響で北陸地方にかかる秋雨前線が活発化。この日は午前中に能登北部に大雨特別警報が発表された。直線距離で100キロ以上離れているとはいえ、金沢競馬場でも断続的に雨が降り、14時半頃には傘が意味をなさないほどの大雨に見舞われた。
そんな不安定な天気を吹き飛ばすかのように笑顔で現れたのは松戸政也騎手。この日、吉原寛人騎手が第1レースを勝ったものの、その後に疾病のため騎乗変更となり、単勝1.8倍の1番人気・トレヴェナ(北海道)の手綱を任されたのだ。
「チャンスですよね。ワクワクしている気持ちと、いきなりの本命馬で怖さがあります。角川秀樹厩舎の馬に乗るのも、北海道所属馬に乗るのも初めてですし、当日の乗り替わりなのでレース映像を直接見ることもできません。角川調教師が『気楽に乗ったらいいよ』と言ってくださって、馬は強いと思うので、僕は邪魔しないように乗ろうと思います」
突然の代役に、なんとか不安を吹き飛ばそうと自身に言い聞かせるための笑顔だったのだ。さらに「先月も急遽の騎乗変更でJRA交流レースを勝ったので、代打にいいイメージを持っています」とレースに向けてプラスの印象を植え付けた。
ところが、レースは序盤のポジション争いが結果を左右した。五分のスタートながらトレヴェナは出ムチを入れながら徐々にダッシュをつけるのに対し、好発を決めたのはともに単勝10倍以下に支持されたレディーティアラ(北海道)とプチプラージュ(北海道)。さらに外から「逃げるつもりはなかったんですけど、ゲートを出て『一発あるならこの形かな』と思って」と、中島龍也騎手がナンシヨウト(高知)で一気にハナを奪った。それでも地力の違いからか、プチプラージュが3コーナーで先頭に並びかけると、そのまま後続を突き放し5馬身差で完勝。2着にはコーナーで置かれながらも直線で脚を伸ばしたレディーティアラ、3馬身離されて3着トレヴェナだった。
勝ったプチプラージュはデビュー2戦目のJRA認定アタックチャレンジ(牝馬限定)を勝ち、前走はタイム差なしの2着。初勝利以降は先行して上位争いを演じており、その先行力が門別よりも小回りの金沢競馬場で生きた。鞍上には笠松の渡邊竜也騎手を配し、小国博行調教師が「次走は笠松のライデンリーダー記念を目指したいと思います」と表明しているあたり、おそらくはそれを見越しての采配だったのだろう。
一方で、「最初にポジションを下げなければよかったです」と悔しい表情を見せたのは2着レディーティアラの大井・矢野貴之騎手。「砂を嫌がったのとトビが不器用なのとで、ペースが上がった時についていけませんでした」とのこと。前走でもコーナーでモタつく場面を見せており、今回もそこが敗因となってしまった。
また、「今回の負けは何だったんだ、と言われるくらいの走りを地元で見せたいです」と巻き返しを誓ったのは3着トレヴェナの角川調教師。「思っていたよりも前の馬から離されて、敗因は初めてのコーナー4回だと思います」と、コース適性の差を挙げた。急遽の騎乗となった松戸騎手にとっては無念さが残る結果となっただろうが、レースでの感触を角川調教師に細かく伝えるなどでき得ることはしっかりと行った。
取材・文大恵陽子
写真早川範雄(いちかんぽ)
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小国博行調教師
デビューから2戦は1200メートルでしたが、試しに2走前に1700メートルを使ったところそんなにバテていなかったので、オーナーにこのレースをお願いしました。2カ月の間隔を空けたのはここに向けてのもので、騎手には「2~3番手の競馬を」と伝えていました。3コーナーで勝てるだろうと思いました。








渡邊竜也騎手
装鞍の時から馬体のバランスも毛ヅヤも良くて、いい馬だなと思っていました。道中は2番手でもフワフワしていて、向正面で肩ムチを入れたら意外と反応したので、無理に抑えるよりもリズムを重視してそのまま先頭に立ちました。それでもまだ物見しながら走っていて、余裕がありそうです。