内を突く奇襲が成功
5馬身差で貫録示す
まだ夏の暑さが残るなか行われた金沢競馬の大一番、白山大賞典JpnIII。ダードグレードになった1997年以降、金沢所属馬限定で実施された2007年以外はすべてJRA所属馬が優勝。地方の実力馬が2着に好走した年もあるが、今年の出走馬の実績からはJRA勢が断然。JRA5頭中、4頭が単勝10倍を切り、地方馬は全て200倍以上と大きく差が開いていた。
オッズを確認する度に人気順位が変わるという上位混戦ムードの中、最終的に1番人気に推されたのはJpnII・2勝の実績があるディクテオンで単勝2.2倍。2番人気は昨年の2着馬メイショウフンジンで3.0倍。3番人気は3連勝中の上り馬で地元の名手・吉原寛人騎手が騎乗するダイシンピスケスで4.5倍。サンマルパトロールが6.7倍と続いた。
石川県七尾市にある鵬学園高校・七尾東雲高校の吹奏楽部による生ファンファーレでレースがスタート。予想通りダイシンピスケスとメイショウフンジンの先行争いとなったが、ダイシンピスケスが先手を取り切った。ディクテオンは5番手、その後ろにサンマルパトロールやテンカハルなどが続いた。1周目スタンド前では前の2頭が後続を離していたが、1~2コーナーで虎視眈々と3番手まで上がっていたのがディクテオン。向正面に入ると内をすくって一気に前に並び、食い下がるダイシンピスケスを3~4コーナーで振り切るとあとは独走状態。直線では5馬身突き放しての快勝だった。
2着は最後まで踏ん張ったダイシンピスケス。1馬身差の3着は、内から上がっていき、最後末脚を伸ばしたサンマルパトロールだった。
レースから戻ってくるとディクテオンの横山和生騎手は「完璧!」と言って陣営と握手を交わした。ダイシンピスケスの吉原騎手が「メイショウフンジンをカバーしていたので内が空いていたが、3コーナーで入るつもりだった。その前にあの奇襲をされては……」と言っていたように、横山騎手の好騎乗が光った。表彰式でのインタビューでは「今日は恰好つけて勝とうと思っていました!」と多くのファンの前で笑顔が弾けた。
ディクテオンは重賞3勝目。前走は帝王賞JpnIで3着など、ここまで戦ってきた相手を考えれば実績上位。1頭だけ57キロと斤量差はあったが力が一枚上だった。吉岡辰弥調教師は「ここ数戦は馬場や展開が向かなくて、上手くいかないことが多かったのですが、今日はジョッキーも上手に乗ってくれました。(内から進出したことについて)あれはジョッキーのアドリブです(笑)。すごいですね、びっくりしました」と笑顔で語った。今後は、12月の東京大賞典GIを目標に、次走についてはオーナーと相談して決めるとのことだ。
2、3着は、重賞初挑戦の馬たちが今後に期待を持たせる走りを見せた。ダイシンピスケスの吉原騎手は「予想通りの展開にはなりました。ハナを取ってからは息も入って進められましたが、休み明けでもありましたからね。以前、1勝させてもらっている馬なので成長を感じられて嬉しかったです。このレース5回目の2着(07年含む)ですか……。いつかは絶対勝ちたいです」と振り返った。
サンマルパトロールのミルコ・デムーロ騎手は「外枠でいい流れでした。向正面では楽勝だと思ったくらい。最後まで頑張ったし良い競馬でした」と前向きなコメントだった。
取材・文秋田奈津子
写真いちかんぽ(早川範雄)、石川県競馬事業局
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吉岡辰弥調教師
休み明けの中では今日が一番良い状態だと感じ、返し馬から気持ちがのっているようでした。ゲートも良く、いつもよりポジションが取れましたね。最後はいつもいい脚を使ってくれるので安心して見ているのですが、今日は仕掛けが早かったので少しハラハラしました。でも非常に強い内容でしたね。









横山和生騎手
返し馬から雰囲気も良く、状態の良さを感じました。前のレースを見て、外を回すよりも内をすくっていくイメージで乗りました。位置取りも良かったですし、それに応えてくれた馬に感謝です。向正面ですんなりハナを取れたので金沢のコース形態上、負けることはないと思っていました。