会心の逃げで人気馬を退ける
目指すは秋のGI/JpnIタイトル
今年の日本テレビ盃JpnIIは世界レベルで注目を集めた。ウシュバテソーロとデルマソトガケの出走により、11月2日にアメリカのデルマー競馬場で実施されるブリーダーズカップ・クラシックGIの前哨戦の様相。
ウシュバテソーロは昨年の日本テレビ盃JpnII覇者でもあり最終的に単勝は1.4倍。2022年全日本2歳優駿JpnI以来の国内レースになるデルマソトガケは3.5倍と人気を集めた。
スタートが切られると真っ先に飛び出したのは3番人気のウィリアムバローズ。軽快な逃げで3コーナーから後続を引き離しにかかると、直線ではもうひと伸びして逃げ切り勝ちを果たした。
今年の東海ステークスGIIに続く重賞2勝目。「逃げるかたちでレースをしようというのは事前に坂井騎手とも話していましたし、この馬のベストなかたち。直線は持ち味でもある二枚腰で伸びてくれました」と上村洋行調教師。
世界相手に好戦してきた強豪を封じ“会心の逃げ切り”を成した坂井瑠星騎手は、レースから戻るとファンの大声援が待つスタンドの前まで行き、馬上から大きく手を上げて喜びを表した。
次走についてはJBCクラシックJpnIやチャンピオンズカップGIも視野に入れて検討するという。
注目のウシュバテソーロは中団からレースを進め、直線外から猛追したが1馬身届かず2着。
「結果は出ませんでしたがいい内容で走れましたので、いいかたちで次に行けると思います」と川田将雅騎手は話し、高木登調教師は「うまく前に残られましたね。気分が乗らなかったのかな。ハミを取っていかないといけないところで取っていかなかった。距離も1800メートルだと少し忙しいのかも」とレースを振り返った。
メイショウハリオは、好位から最後は伸びたものの2着とは4馬身の差があって3着。「前走よりも走る気になっていて、復調の兆しは見られました」と濱中俊騎手。
4着は浦和のナニハサテオキで地方最先着。「初めてのダートグレード競走でしたが最後まで気持ちを切らさず収穫はありました。課題を言えばもっと機動力が出てくれば良いですね」と森泰斗騎手は話した。
デルマソトガケは5着。2番手を追走したが早めからステッキが入る反応の鈍さで、直線は伸びきれなかった。
「2番手のちょうどいいポジションでしたが、勝負どころでペースが上がると忙しくなりました。久しぶりで、コンディションの面で影響がありましたし、伸びしろがあると思います。それでも最後まで押して次につながる競馬をしました。アメリカのダートの方が合っているので心配はしていません」
ウシュバテソーロ、デルマソトガケそれぞれの陣営によれば、予定通り次走はブリーダーズカップ・クラシックGIへと向かうという。
取材・文中川明美
写真国分智(いちかんぽ)、NAR
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上村洋行調教師
この馬のいいかたちでレースができました。4コーナーもロングスパートでと話していたのでセーフティリードを取れたんだと思います。前走は距離も不良馬場もあったので残念でしたが本来ならこれだけのパフォーマンスができる馬です。
坂井瑠星騎手
レース前に上村先生と話したイメージ通りでした。すごくリラックスして気持ちよく走っていました。最後はやっぱり「来たか」という感じでしたが、直線を向いた時の反応が良かったので、これなら凌いでくれると思いました。次はGIを勝てるように頑張りたい。