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第28回マリーンカップJpnIII

直線一気で5馬身差圧勝
  JBCの舞台で古馬に挑む

1997年に創設されたマリーンカップ。3歳以上牝馬の1600メートル戦として4月に行われていたが、ダート競走の体系整備により3歳牝馬の1800メートル戦として9月の実施となった。

出走は6頭と少頭数になったが、羽田盃JpnI・2着、東京ダービーJpnI・3着と牡馬とも好勝負してきたアンモシエラと、関東オークスJpnIIを7馬身差で逃げ切ったアンデスビエントの直接対決が注目を集めた。

そんなクラシック組を抑えて勝利を飾ったのは上がり馬のテンカジョウ。デビューから全てダート1800メートルで4戦3勝、3着1回と安定した成績を残してきた。重賞初挑戦での制覇に「能力があることはわかっていました。初めてのナイターと左回りだけが心配でしたが、いい走りでした」と國分優作騎手。

レースはアンモシエラとアンデスビエントが激しい逃げ争いで後続を引き離した。船橋のザオ、クラヴィコードが続き、テンカジョウは5番手を追走。さらに離れた最後方から大井のフォルトリアンが追走した。

3コーナー手前では馬群が固まり、ザオが前2頭に並びかけると、アンデスビエントが後退し、アンモシエラも競り落として4コーナーで先頭へ。しかし徐々にポジションを上げてきたテンカジョウが残り200メートルあたりでライバルたちを一気に抜き去ると、後続に5馬身差をつける圧勝となった。

3コーナーで3番手に進出して脚を伸ばしたクラヴィコードが2着。ザオがアタマ差の3着に粘り込み、アンモシエラは4着。アンデスビエントは6着に終わった。

テンカジョウは5戦目という浅いキャリアだが、岡田稲男調教師は「素直で手の掛からない馬です。カイバもよく食べてくれるし、輸送も大人しいです。ただ、ゲートが遅い馬なので、できれば中団くらいにはつけたいですけど。これも個性ですかね」とニッコリ。今後は優先出走権を獲得したJBCレディスクラシックJpnIで、古馬に挑む予定だ。

なお、一度は先頭に立ったザオもすばらしい走りだった。2歳時からポテンシャルの高さで期待されてきた馬だが、繊細な部分があり、もどかしい競馬が続いた。最近は精神的にも大人になり、ストライドの大きい馬が背が伸びたことでよりスピードがのりやすくもなったそうで、心身ともに成長が著しい。今後は当初からの予定通り、地方全国交流重賞のロジータ記念(11月13日、川崎)に向かい、初タイトルを目指す。

さて、この日はJRAと南関東で重賞5勝をあげたリッカルドが誘導馬デビューを果たした。一足先に誘導馬となっているJBCクラシックJpnI覇者のミューチャリーとともに、マリーンカップJpnIIIでは現役時代のそれぞれの厩舎メンコを着用してエスコートするという粋な計らいに、場内も盛り上がった。前半のレースの誘導では気持ちを高めていたリッカルドだったが、回を重ねるごとに落ち着いていたところは、さすがだ。これからミューチャリーとの二枚看板で、多くのファンに笑顔を届けてほしい。

取材・文高橋華代子

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

國分優作騎手

馬の状態は良かったです。ゲートは遅いので、お客様はヒヤヒヤしているだろうなと思いながら、それでも道中はいいリズムで走れていたし、1コーナーの時にはハミの取り方も良かったので、(最後は)ちゃんと脚を使ってくれました。これから先もっと良くなると思うので、一緒に活躍していきたいです。

岡田稲男調教師

後ろからの競馬でも3~4コーナーくらいから、しっかりハミを取ってくれました。まだ5走しかしていませんが、競馬を覚えていると思います。緩かった体は見た目よりしっかりしてきました。騎手も「乗ったらすごいバネがある」と言ってくれています。距離適性は2000メートル以上あってもいいと思います。