末脚生かし大畑騎手が差し切る
2戦とも2着の橋木騎手がJRA首位
ヤングジョッキーズシリーズTR 佐賀
JBC初開催まで1カ月と1週間に迫った佐賀競馬場。場内には『やるぜ、JBC。』の装飾があちらこちらに見られ、パドックには電光掲示板が設置されるなど、着々と準備が進んでいる。
ダート競馬の祭典を前に、この日はヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンド(TR)佐賀が行われた。6月の調教中に落馬し、右肩脱臼のため戦列を離れていた今村聖奈騎手(JRA)が9月21日から復帰し、TR唯一の騎乗(予定)となる佐賀に登場。また、すでにJRA通算101勝の角田大和騎手(JRA)は今年でYJSを卒業。ファイナルラウンドに進出した2021年と23年はともにTR佐賀で獲得した高得点があと押しをしており、思い出の地でラストYJSへ期待が高まった。
第1戦は序盤から前がかりに8頭が一団を形成して1コーナーを回る中、約5馬身離れた後方で脚を溜めた大畑慧悟騎手(愛知)が勝利。昨年TR金沢第1戦を単勝57.5倍の10番人気で勝った勝負強さがここでも光った。前夜に船橋・日本テレビ盃JpnIIでソルトゴールドに騎乗し、そのまま寝ずに地元で調教に乗っての佐賀移動。ハードスケジュールが報われた勝利だった。
2着の橋木太希騎手(JRA)は直線を向いて伸びるかという場面で内にヨレ、体勢を立て直している間に差された。戻ってくるなり何度も「直線でフラフラしてしまってすみません」と、調教師や被害を受けた6着角田騎手に謝罪。3着は勝ち馬よりも後方にいた中山蓮王騎手(佐賀)で「前が少し速くなった分、展開が向きました」、4着柴田裕一郎騎手(JRA)は佐賀初騎乗で「直線が短く、馬場もどこを通るのがベストか難しいコースでした」と印象を話した。5着の河原田菜々騎手(JRA)はいかに砂を被らずに運ぶかが鍵となり、「勝負所でみんなが動いて行った時に手応えが怪しくなって、キックバックを被って追い通しになりました。直線でもう少し外に出してあげたら伸びも違ったのかな」と話した。
その河原田騎手は第2戦も2番手外から先行策を取った。直線で一度は2馬身ほど離されたが、ゴール直前で差し切って勝利。道中は逃げ馬と2頭でややハイペースを作りながらも、冷静な騎乗が勝利を手繰り寄せた。
対照的に「もぉーっ!」と悔しさいっぱいだったのは2着橋木騎手。残り50メートルまでは先頭で、勝てるかと思った矢先、「左から河原田騎手が見えて『やめてくれ、お願い!』と。ゴールを過ぎたら前にいて、落胆しました」と、やりきれぬ思いが全身から滲み出ていた。それもそのはずで、今年3月のデビュー以来まだ初勝利を手にできていない。「泣きたいっすね。一つ勝てれば、流れは変わるかなと思うんですけど」と、勝利を渇望。見守る側としては、この悔しさをバネにいつの日か飛躍することを願うばかりだ。
周囲から「もうちょっと魅せろ」と喝を受けたのは、3着合林海斗騎手(佐賀)。「飛田先輩と山田先輩から(苦笑)」というのは期待の表れでもあるだろう。4着に角田騎手、5着中山騎手だった。
この結果、地方西日本1位はTR園田で1勝を挙げていた高橋愛叶騎手(兵庫)で48ポイント。TRはこの佐賀で騎乗終了見込みで、「油断したら他の騎手に抜かされそうです。JRAの騎手、頑張れ!」とファイナル進出圏内の4位を死守したいところ。TR佐賀騎乗組では長尾翼玖騎手(兵庫)も3位に踏みとどまった。
JRA西日本は2着4回の橋木騎手が80ポイントで断然の首位。ただ、本人にとっては「勝ってファイナルに行きたいです」と、初勝利がなによりの願いだった。2位にTR佐賀で5着、1着と高得点を加算した河原田騎手が続いた。
西日本のTRは残すところ2場。次回は10月9日、笠松競馬場で行われる。
取材・文大恵陽子
写真岡田友貴(いちかんぽ)
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第2戦1着 河原田菜々騎手(JRA)
ペースは速かったと思いますが、逃げ馬は砂が少し深い所を走っていて、その外につけた自分は楽な所を走らせてもらえました。直線も砂が浅い所で踏ん張ってくれて勝ちきることができました。いい状態を作ってくれた厩舎の方のおかげです。










第1戦1着 大畑慧悟騎手(愛知)
調教師から「好きに乗っていいよ」と言われ、出たなりで決めようと考えていました。前のペースが速くなっていて、溜めた脚を最後にしっかり使ってくれました。一つ勝ててよかったですが、TR名古屋でポイントを稼げなかった分、西日本5位でTR騎乗は終わりですね。