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第64回姫山菊花賞

直線二転三転の混戦を差し切る
  川島騎手は9年半ぶり重賞制覇

JBC指定競走の姫山菊花賞は、南関東、東海、金沢所属馬にも出走資格がある重賞。今年は船橋から2頭、大井、愛知、金沢から各1頭が参戦と、ここ数年では最大の遠征頭数となった。対する地元勢はダッシュダクラウンが出走を取り消して、出走10頭のうち5頭。そのなかで注目を集めたのがキリンジ。中央在籍時にダートグレードで2着3回、3着1回という実績で2走前から兵庫所属。ただ、単勝1番人気でも2.1倍と、圧倒的というほどではなかった。

しかしキリンジは、3着だった前走の摂津盃から巻き返しを期した。チークピーシーズを新たに装着して、鞍上には前走で先着を許したミステリーボックスに騎乗していた下原理騎手を起用。その効果か、ゲートが開くと先手を取ったウインドケーヴの直後につけるという「これ以上ない位置」(下原騎手)でレースを進めた。

流れはスローだったが、2周目の向正面に入ったところからウインドケーヴの川原正一騎手がゴーサインを出して、隊列が一気に縦長になった。

その展開に苦労したのが船橋のユアヒストリー。3.8倍の2番人気に支持されたが、最後の直線で差を詰めたものの6着という結果。澤田龍哉騎手は「前にいた馬がフラフラしていて、最後まで不利の連続でした」と話した。

一方、逃げたウインドケーヴは直線に入って失速。代わってキリンジが先頭に立って押し切りを図る態勢になったが、スタンドから見た限りでは、反応としてはいまひとつ。そこにインコースからミステリーボックスが瞬発力を見せて、完全に差し切ったと思える勢い。しかし外を回ったパワーブローキングも目立つ伸び脚を披露して、ゴール寸前で逆転の勝利を飾った。

久しぶりの重賞制覇となった川島正太郎騎手は「馬を信じて最後までしっかり追いました」と興奮ぎみ。船橋開催中でも園田競馬場に臨場した佐藤裕太調教師も「園田で初めて重賞を勝ててうれしいです」と笑顔を見せた。

2着のミステリーボックスはゴール寸前、クビ差で勝利を逃す惜しい内容。それでも吉村智洋騎手は「気持ちよく走れば力を出せるタイプ。定量戦でこれだけやれれば」と、収穫を得たようだった。さらにクビ差で3着キリンジの下原騎手は対照的に「2番手を取れたところで勝ちを意識したんですが」と、思案顔。「この結果はちょっとショックですね。ペースが遅すぎたのかなあ。“ヨーイドン”の展開は向かないタイプという気はするんですが」と、苦笑いするしかないという表情だった。

4着と5着に入ったのは、追い込みに徹した人気薄の2頭。単勝184.4倍で4着のベストオブラックは「掛かることなく、最後の手応えもよかったです」と田野豊三騎手。5着のトランスナショナルは227.8倍で、松戸政也騎手は「体重減が心配だったので末脚をいかす競馬をしましたが、よく伸びましたね」と笑顔。管理する金沢の井樋一也厩舎はJBCに2年連続で参戦している。トランスナショナルは昨年のJBCクラシックJpnIで8着。今年も大舞台に進む可能性がありそうだ。

取材・文浅野靖典

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

川島正太郎騎手

先行できればと思っていましたが、道中の流れで中団よりちょっと後ろの位置取りに。でも前に有力馬を見る形になったので、いい目標になりました。この馬に乗るのは3回目。どのくらいの脚を使えるのか把握していましたから、結果的にこの馬のいいところを引き出すことができたと思います。

佐藤裕太調教師

調教師席はゴールの斜め後ろなので、勝ったかどうか分からなかったです(笑)。展開が向いたと思いますし、ジョッキーも冷静に乗ってくれました。今後は帰って様子を見てからになりますが、小回りコースが合う感じがありますね。次は南関東の重賞や、地方交流の重賞が目標になると思います。