好位から直線突き抜ける
トップハンデで連覇達成
阪神競馬場のスタンドリフレッシュ工事により、中京ダート1900メートルで行われるのは2年振り。中京でのシリウスステークスGIIIの勝ち馬では、2022年のジュンライトボルトが、続くチャンピオンズカップGIも制した。その年の走破時計は1分57秒7。それ以前は、20年カフェファラオが1分57秒8、21年サンライズホープが1分57秒4と、勝ち時計にほとんど差はない。
中京ダート1800メートルは、坂の途中にゲートが置かれるので、待っている姿勢やゲートが開いてから先行するには通常より仕掛けてスピードに乗せていかなければならない。1900メートルは、フラットな場所からスタートするとはいえ、直後に上り坂が待っているので、やはり先行タイプはスピードに乗せたい。序盤のラップは速くなりやすく、中盤でラップが落ち着く傾向がある。中京で行われたシリウスステークスGIIIの前半3.5ハロンを比較すると、7.2-11.0-10.9-13.1(20年)、7.0-11.2-11.5-12.9(21年)、7.2-11.3-11.3-13.1(22年)と、ラップ構成はほぼ変わらない。逃げ馬は苦戦するレースで、差し・追い込み馬にチャンスがある。しかもハンデ戦で紛れが生じることも多いので、波乱も十分に考えられる。
今年のメンバーを見渡すと、確固たる逃げ馬はおらず、前走の3勝クラスで2番手から抜け出したサンライズアリオンが唯一、前に行く可能性を感じた。そのサンライズアリオンが外枠から先手を奪い、有力馬たちが好位を取り、道中は淡々と流れたように映った。前半3.5ハロンのレースラップは、7.2-11.0-11.2-13.1と、前述3回とほぼ変わらない。無理せず先頭に立ったように映っても、仕掛けていく分、見た目以上にスピードに乗っていることがわかる。有力馬で唯一、外枠となったハピは、無理なく好位の外目を取れたが、オメガギネスとハギノアレグリアスは内枠だったので、道中はロスなく立ち回って脚を溜めていた利がある。特にハギノアレグリアスは、平安ステークスGIIIで後方からのレースとなり、末脚が不発に終わった苦い経験があり、今回は積極的にポジションを取りに行った。
枠順の内外がまさに、直線の攻防で差が出た。4コーナーで外に切り替え、早めに抜け出したオメガギネスに対し、その後ろにいたハギノアレグリアスは直線入口でオメガギネスとハピの間に進路ができると、勢いよく突き抜けた。ハピは直線で全く伸びず、10着に敗れた。ハギノアレグリアスは、59.5キロのトップハンデを克服して、レース史上初の連覇を達成した。1馬身1/4差で2着オメガギネスは、3回目の重賞2着と悔しいレースながら、負けて強し。タイトル奪取も近い。1馬身半差の3着フタイテンロックは岩手でデビューし、南関東を経て今春、JRAに移籍。まだ3勝クラスの身でありながら、50キロの軽ハンデとはいえ3着に食い込んだのは大健闘と言える。
シリウスステークスGIII優勝馬は近5年、17年生まれがズラリと名を連ねている。この世代のダートGI/JpnI馬は、ウシュバテソーロ、カフェファラオ、ジュンライトボルト、ショウナンナデシコ、ダノンファラオ、テーオーケインズ、パンサラッサ、メイショウハリオ、ライトウォーリア、ヴァケーションと10頭もいる。コントレイル&デアリングタクト世代は、ダート界も最強世代と言えるほど、層が厚い。ハギノアレグリアスは7歳とはいえ長期離脱があり、キャリアはまだ20戦。GI/JpnI挑戦は昨年2回で、いずれも勝ち馬と1秒以内のレースをしている。ポスト・ディープインパクトの筆頭である父のキズナは、初の総合リーディングサイアーを目指して、2位ロードカナロアと熾烈な争いを繰り広げている。代表産駒の1頭へ……。ハギノアレグリアスの今後の活躍にも注目したい。
取材・文古谷剛彦
写真JRA


