内枠を利して4コーナー先頭
馬場も味方にライバルを完封
ここ数年、高知競馬の馬場は以前より乾きが早くなった。珊瑚冠賞が行われる週も月曜日までは重馬場だったのが、気温30度前後の晴天が続き土曜日には良馬場まで回復。その馬場状態が結果を左右した。
影響を最も受けたのは単勝1.2倍の1番人気に支持されたユメノホノオだろう。昨年、高知三冠を達成した黒潮菊花賞では画面に映らぬほど大出遅れを喫しながらも、2周目向正面で1頭だけ異次元のまくりでタイトルを手にした。暮れの高知県知事賞も制し、今年はこの馬を中心に古馬路線は進むと思われた。しかし、稍重の福永洋一記念ではまさかの2着。1600メートルのコース形態は不向きだったとはいえ、タフな馬場に持ち前のキレ味が削がれたことが一つの敗因だった。
この秋は白山大賞典JpnIII参戦プランもあったが、気性的に長距離輸送かつ一気の相手強化となるダートグレード競走は時期尚早との判断から、地元戦に矛先が変えられた。
そうして迎えた珊瑚冠賞。注目のスタートは全馬揃った。ユメノホノオも他馬よりやや遅れたものの、この馬としては好スタート。いつも通り後方外目に構え、1周目ゴール板で肩ムチが一発、1~2コーナーでは吉原寛人騎手が腰を入れて追い、数発ムチも入れられた。ところが、向正面に入ってもなかなかエンジンがかからない。ようやくスパートを始めても、先頭との差は思うほど詰まらない。その間、4コーナー手前で内をすくって先頭に立ったのは、春の二十四万石賞で同馬に1馬身差まで食らいついたガルボマンボだった。ライバルに約5馬身のリードを取って直線を迎えると、必死に追い上げるユメノホノオに3馬身差をつけて勝利を手にした。
「やっとです!」
ガルボマンボの主戦・林謙佑騎手の笑顔が弾けた。かねてより「タフな馬場と、できれば内で競馬ができれば」と話していた林騎手。好条件を味方に、理想的なレース展開に持ち込んだ。
加えて、状態も抜群だった。金沢へ約8時間の長距離輸送だった前走・イヌワシ賞ではマイナス7キロと馬体が減って3着。今回は「だいぶエサを食べさせました」と細川忠義調教師が話せば、林騎手も「調教をつけている三村展久厩務員からも状態がいいと聞いていましたし、レース前に待機所からゲートに向かう時も元気が良かったです」と胸を張った。昨夏は状態がいま一つ上がってこず、このレースは6着に敗れたが、2022年には高知優駿や高知県知事賞を制し高知けいば年度代表馬にも選ばれた実力馬が、再び輝きを取り戻した。
一方、ユメノホノオの吉原騎手は完敗といった雰囲気。
「今日は一番嫌な馬場だなと思っていました。不良馬場ならもうちょっと際どかったと思うけど、それでも『勝てただろうな』という感じでもないです。1~2コーナーからずっと追いっぱなしでやっとエンジンが掛かったけど、古馬になってからはこのくらいしか動きません。ペースも違いますからね。僕たちも求めるモノが大きいけど、大崩れせずによく走ってくれていると思います」
ここから先は馬体のさらなるパワーアップも求められるのだろう。
取材・文大恵陽子
写真桂伸也(いちかんぽ)
Comment

細川忠義調教師
やっと勝てて嬉しいです。内枠だと、スタートを決められたらいいところがある馬。このあとはまだ具体的には考えていないですが、もう1回遠征に行って年末の高知県知事賞を目標にできたらと思います。JBCクラシックは……。少し荷が重いかなとも思いますけど、オーナーと相談して、ですね。








林謙佑騎手
序盤は押して無理して位置を取りに行きましたけど、そこからは自分の思った展開になりました。状態もいいと聞いていましたし、体重も増えていました。返し馬はいつもと同じだったんですけど、ゲート裏に集合する時の元気が良かったです。ユメノホノオもよく走っていると思いますが、勝てて嬉しいです。