大江原騎手がYJS初騎乗で勝利
阿岸騎手はファイナルへ望みつなぐ
ヤングジョッキーズシリーズTR 川崎
秋の地方競馬シーンを盛り上げている、ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)。西日本ではトライアルラウンド全6戦のうち9月に一挙4戦が行われたが、東日本では8月7日に門別競馬場で戦いが幕を開けて以来、ここまで小休止。2カ月を経て、川崎競馬場から本戦を目指す戦いが再開した。
多くの騎手が、今年のYJSの初戦を迎えた。4月デビューの新人で、初のYJS出場が地元川崎となった加藤雄真騎手は戦前、「YJSファイナルは憧れの場所。まずは初戦が地元なので、ポイントを稼いで軌道に乗りたい」と意気込みを語った。デビューしてから半年。「まだそんなに多く勝つことは出来ていないが、レースの流れなど少しずつ身についてきた手応えはある」と、ここまでの経験を振り返る彼にとって、今回のYJSは騎手として得てきたものを確かめる、丁度いいタイミングなのだろう。
一方、北海道から参戦する若杉朝飛騎手と阿岸潤一朗騎手は、地元門別ですでに2戦を消化しており、この日川崎での2戦が早くもトライアルラウンド最後の騎乗となる予定。とりわけ阿岸騎手は、第2戦では競馬新聞に上から下まで『◎』が並ぶような有力馬が当たっており、それがファイナル進出に向けての一縷の望み。レースを前に「すごく緊張する」と話すとともに、「あれこれ考えても、思い通りにならないのが競馬だと学んできた。ゲートを出れば無心で乗れると思う」と、『勝負駆け』を前にした胸の内を明かした。
ナイター開催ではあるが、トライアルラウンドのレースが行われるのは夕方の第4レースと第6レース。それに先立ち、第2レース終了後には騎手紹介式が行われた。昼前後から粒の細かい雨が降るあいにくの天候だったが、熱心な来場客100名あまりが会場となった賞典台の周囲に集まり、思い思いの騎手に声援を送っていた。
なお出場予定だった永野猛蔵騎手と小林勝太騎手(ともにJRA)は、それぞれ千野稜真騎手(浦和)と所蛍騎手(船橋)に騎手変更となった。急遽の乗り替わりではあるが、この騎乗はYJSトライアルラウンドの出場として扱われ、得点がカウントされる。
第1戦は、C3選定馬による1500メートル戦。1番人気に推された佐藤翔馬騎手(JRA)が、大方の予想通り1番枠から先手を取りに行く。しかし、これに待ったをかけたのが「行けるなら行くつもりだった」という千野騎手。2頭が競り合うハイペースは後続勢の差し追い込みを誘発し、その結果、後方から外を捲るように追い上げた大江原比呂騎手(JRA)が1着となった。「外から勝ち馬が来た時に一緒に行けなかった」という谷内貫太騎手(大井)が、それでも中団からじわじわ脚を伸ばして3/4馬身差の2着。勝ち馬より更に後ろから追い込んだ地元川崎の加藤騎手も、2着からクビ差の3着と健闘した。加藤騎手は「今開催は(馬場の傾向として)外が伸びていたので、外に出そうと思っていた」とレースを振り返り、どうやら『地元の利』も好結果を後押ししたようだ。
ハナは取り切ったものの競り合いになったレース序盤を「冷静に乗れなかった。自分のミス」と悔しそうに振り返った佐藤騎手は、更にクビ差の4着に敗れた。
第2戦は、C2選定馬による1600メートル戦。スタート直後、3番人気の若杉騎手が落馬するアクシデントが発生し、場内がどよめく中での先行争い。このレースでも先手を狙った2番人気の千野騎手が、外から来た馬を行かせての2番手で折り合いをつけて道中を消化すると、「戦略通り」という3コーナーからの進出で一旦は単独先頭に立った。しかし、中団で待機していた1番人気の阿岸騎手の勝負所からの勢いは凄まじく、直線半ばで並ぶ間もなく千野騎手を交わして先頭に躍り出る。ゴールでは後続を5馬身離した、阿岸騎手の圧倒的な勝利だった。2着には千野騎手が粘り込み、更に1馬身半差の3着には11番人気ながら中団から追い込んだ所騎手が入った。
勝ったケイツーバルボアはJRAからの転入初戦で力量があると目されていたとは言え、「前が速そうだと感じた。届かなければ仕方がない、ぐらいの気持ちだった」と戦後語った阿岸騎手の、腹を括った騎乗振りが強く印象に残った。
トライアルラウンド川崎終了時点で、シリーズの騎乗終了予定の阿岸騎手が47ポイントとなり、地方東日本のトップに立った。昨年4位でファイナルラウンドに進んだ野畑凌騎手が49ポイントだったので、阿岸騎手もまさにボーダーライン上でライバル達の結果を待つことになる。一方、JRA東日本ではこの日の第2戦も6着とまとめた大江原騎手が38ポイントで暫定トップとなった。
次の東日本地区におけるYJSトライアルラウンドは、翌週の10月17日、舞台を大井競馬場に移して行われる。
取材・文坂田博昭
写真築田純(いちかんぽ)
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第2戦1着 阿岸潤一朗騎手(北海道)
3コーナーからの反応が抜群で、勝てるという確信が持てました。この勝利は、嬉しすぎて言葉になりません。門別でも、もっと頑張れるはずの馬を走らせることが出来なかったので、まだ技術不足です。自分自身、緊張して焦ったりしてメンタル部分が弱いので、これからはそこを意識して頑張っていきたいです。










第1戦1着 大江原比呂騎手(JRA)
普段ハミを抜いてしまうようなところがあると聞いていましたが、今日はしっかり気持ちが乗っていて道中もしっかりハミを取って運べました。すごく反応が良くて、終いは左にもたれながらも脚を使ってしっかり伸びてくれました。次戦もしっかりポイントを重ね、次のステージに向かえるように頑張ります。